徳島県美浜町沖浮体式洋上風力、県環境影響評価審査会「科学的な調査実施を」
2024/06/06
徳島県美波町沖で計画されている浮体式洋上風力発電をめぐる環境影響評価審査会が5月21日に開かれ、周辺に生息する魚やウミガメなどへの影響について科学的に調査を実施し、適切に予測、評価を行う必要があるとする答申案が示された。
美波町の南東沖に
浮体式風車2基を設置
徳島県美波町沖の風況・海況調査(出典 SSEパシフィコ)
SSEパシフィコは、2021年11月に再生可能エネルギー開発・運営の国内大手、パシフィコ・エナジーと英エネルギー大手のSSEリニューアブルズが共同で設立した。
同社が洋上風力発電事業を計画しているのは、美波町の由岐漁港の南東沖約5キロの海域。水深約70~90メートルの地点に浮体式の風車2基を設置する。最大出力は約3万kWで、1基あたり1万2000~1万8000kWを見込んでいる。風車の直径は220~270メートル。基礎となる柱の高さは海面から約140~190メートル。実現すれば四国で初めての洋上風力発電所になる。
科学的に調査して
環境への影響を適切に予測すべき
徳島県美波町沖の事業実施想定区域(出典:SSEパシフィコ)
この計画をめぐる徳島県の環境影響評価審査会が5月21日に開かれ、答申案を示した。事業の想定区域には鳥類や魚類、ウミガメなどが生息している。答申案では、レーダーや計量魚群探知機を用いて科学的に調査し、環境への影響を適切に予測して評価する必要があるとしている。
また、南海トラフ巨大地震などの自然災害が発生した場合は、事故やトラブルが起きた場合に備えることも必要だとしている。今後、審査会の意見は、後藤田知事に答申され、6月上旬には知事の意見が事業者に提出される予定だ。
DATA
「(仮称) 徳島県美波町沖洋上風力発電事業 計画段階環境配慮書」の公表及び縦覧について
取材・文/高橋健一