環境省「離島への浮体式洋上風力発電導入検討の手引」を公表
2025/04/04

環境省は、離島への浮体式洋上風力発電設備の導入拡大を目指し、導入の効果や導入検討の流れ、留意点などを記載した「離島への浮体式洋上風力発電導入検討の手引」を公表している。
離島への再エネ導入拡大へ
手引きを作成
浮体式洋上風力発電の導入を検討している東京都の伊豆大島沖
現在、世界中でカーボンニュートラルに向けての取り組みが 進められており、日本においても再生可能エネルギーの導入拡大が求められている。四方を海に囲まれている離島では、再生可能エネルギーの中でもとりわけ、浮体式洋上風力発電が注目されている。
しかし、離島での浮体式洋上風力発電の導入は、事業規模が大きいため関係者の範囲も大きく、また、自治体や発電事業者のほか漁業関係者などの多様な関係者との合意形成が重要になる。そのため、導入の際には順を追って丁寧に各関係者に対する説明を行い、合意を進めていく必要がある。
そこで、環境省は今年6月、離島の自治体などが浮体式洋上風力発電の導入を検討する際の参考資料として「離島への浮体式洋上風力発電導入検討の手引」を公表した。過去の事例をもとに、離島の自治体が主体となって都道府県や事業者などと連携する際の進め方などを紹介している。
離島での浮体式洋上風力発電
導入方法と留意点とは
この手引の特徴は、離島での浮体式洋上風力発電設備の導入を検討するにあたり取り組むべき事項を、具体的なステップで整理し説明している点にある。(1)ビジョンの明確化、(2)理解醸成、(3)机上調査~実地調査、(4)風況観測、(5)施設導入の5つのステップが示されている。
離島への浮体式洋上風力発電導入検討と合意形成のステップのイメージ
離島への浮体式洋上風力発電導入検討の手引(出典 環境省)
まず、1のビジョンの明確化では、自治体がその地域になぜ浮体式洋上風力発電が必要であるのかを整理する。これにより関係者への説明や合意形成が円滑になる。また、都道府県や国との連携やビジョンの公表も重要であるとしている。
次に、2の理解醸成で、地方住民や漁業者などの関係者への説明を行い、メリット・デメリットを含めた思いを丁寧にすり合わせていくこととしている。理解が得られると、3の机上調査~実地調査、4の風況観測に進み、海象、風況、自然環境などについてのさまざまな調査を行う。風況観測では、データ精度の確保などのため、観測期間を1年以上とする必要があるとしている。
そして、5の施設導入となる。3・4をもとにした発電電力量の予測や、島内の電力需要量などを調査し、地域の電力需要の特性を整理する。それをもとに浮体や係留設備、陸域施設などについて検討し、浮体式洋上風力発電施設の設計などを行っていくとしている。関係者との合意形成の状況によっては、施設の導入を断念するという選択肢も示している。
東京の伊豆大島で
2023年度に風況調査を実施
これまで、離島では主に化石燃料を用いて発電を行っていた。浮体式洋上風力発電の導入により、さまざまな効果が期待される。脱炭素化が促進されるのはもちろんのこと、再エネ関連企業、従業員数の増加などの雇用機会の創出や、施設を観光資源とした観光業の発展が想定される。
また、エネルギーの外部依存性が低減し自立することにつながり、災害に対する備えにもなる。浮体式洋上風力発電は、水深の深い海域においても導入が可能であるため、東京都の伊豆大島では2023年度に風況調査を実施して、導入の可能性の調査を進めている。
DATA
取材・文/ダブルウイング