北海道檜山沖、22日に第2回法定協 地元の合意形成が焦点
2024/07/17
経済産業省と国土交通省、北海道は、檜山沖の第2回法定協議会を今月22日に開催すると発表した。促進区域の指定に向けて、地元の合意形成をどのように進めていくのかが大きな課題となっている。
檜山沖
4事業体が計画公表
北海道檜山沖の水深(出典 経済産業省)
北海道檜山沖は、せたな町、八雲町、江差町、上ノ国町の4町の沖合の海域。檜山沖の第2回法定協議会は今月22日(月)の午後1時15分から江差町のホテルニューえさしで開催する。法定協議会のメンバーは、経産省や国交省、北海道のほか、せたな町、八雲町、江差町、上ノ国町、漁協関係者などで構成される。専門家からの情報提供のほか、地域の検討状況について報告があり、そのあと出席者による意見交換が行われる。会議の様子はYouTubeで生配信する予定。
経産省によると、檜山沖の事業想定エリアは乙部町を除くせたな町から上ノ国町までの沿岸部で、出力規模は約91~114万kW。檜山沖では、これまでに電源開発が72万2000kW、東京電力リニューアブルパワーが135万kW、コスモエコパワーが100万kW、昨年11月には北海道洋上風力開発合同会社が150万kWの事業計画を公表し、環境アセスメントや海底地盤調査などを進めている。
北海道洋上風力開発は、デンマークに本社がある洋上風力発電専門の投資会社「コペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ(CIP)」の事業会社で、CIPと三菱重工業が50%ずつ出資している。北海道洋上風力開発として檜山沖は、石狩湾沖、島牧沖に続いて道内3カ所目の計画となる。
昨年12月に
法定協議会の初会合
北海道檜山沖の風況(出典 経済産業省)
昨年12月に開催された法定協議会の初会合では、檜山管内洋上風力事業推進協議会の会長を務める上ノ国町の工藤昇町長が「関係機関が一体となって洋上風力発電事業を促進したい。発電事業者には漁業振興策に重点を置いた取り組みや、企業版ふるさと納税による地域支援、電力の地産地消を進める取り組みなどを要望したい」と述べた。
江差町の照井誉之介町長は、「洋上風力発電事業に協力しながら地域振興を進めていきたい。そのなかで、江差港を最大限有効に活用しながら地域振興にあたっていただきたい。また、設置海域の境界や固定資産税についての問題が起こらないよう法定協議会の場で議論していただきたい」と要望した。
ひやま漁協の工藤幸博組合長は「漁業関連施設の更新や改修、漁業生産に必要な冷凍・冷蔵施設や、活魚水槽に使用する電気料を軽減するような取り組みなどを検討してもらいたい。漁業者が安心して将来にわたり漁業経営の継続ができるようにするとともに、メンテナンスに関連する船の業務を請け負うことも期待している」と話した。
経済産業省風力政策室の石井孝裕室長は、「地域や漁業と共存共栄できる洋上風力発電事業の推進が極めて重要だと考えている。電力の地産地消にもほかの海域と同様に取り組んでいきたい。境界に関する諸問題については、法定協議会の役割だと考えている」と説明した。
7ヶ月ぶりに
法定協議会を開催へ
昨年12月に初会合を開いたあと、法定協議会がなかなか開催されないため、関係者のあいだでは不安の声があがっていた。第2回法定協議会は、初会合から7ヶ月以上を経過して開催される。事業の実施が確実となる促進区域への指定に向けて、地元の合意形成をどのように進めていくのかが大きな課題となっている。
DATA
取材・文/高橋健一