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北海道岩宇・南後志地区沖 第2回法定協議会「セントラル方式のフロントランナーを目指す」

北海道岩宇・南後志地区沖の第2回法定協議会が今月28日に開催され、事務局から意見集約の骨子案が示された。地元の漁業者に配慮しながら、日本におけるセントラル方式のフロントランナーとして円滑な事業推進を目指すことを確認した。

6町村の沖合が対象
最大出力は70万5000kW


北海道岩宇・南後志地区沖は、神恵内村、泊村、共和町、岩内町、蘭越町、寿都町の6町村の沖合の海域。北海道岩宇・南後志地区沖の第2回法定協議会は今月28に共和町の生涯学習センターで開催した。法定協議会のメンバーは、経産省や国交省、北海道のほか、沿岸の6町村と3つの漁業協同組合などで構成される。

経産省によると、北海道岩宇・南後志地区沖の洋上風力発電設備は着床式で、最大出力は70万5000kWと想定されている。2023年5月に6町村の沖合の約2~10kmの海域が、再エネ海域利用法に基づく「有望な区域」に整理された。これまでに北海道岩宇・南後志地区沖で着床式の計画を正式に公表している事業者はない。

2023年度から
セントラル方式の調査を実施

セントラル方式

「セントラル⽅式」の推進とJOGMECによる調査(出典 経済産業省)

第2回法定協議会では、環境省大臣官房環境影響評価課の鈴木祐介室長補佐が、洋上風力発電に係る環境配慮のための新たな制度案、通称「セントラル方式」について説明した。環境影響評価法に基づく環境影響評価手続きは、事業者が選定されたあとに開始することが可能だが、実際には、選定された後の運転開始までのリードタイムを短縮することなどを目的に、複数の事業者によって、選定前に計画段階環境配慮書や環境影響評価方法書に係る手続きが開始されている状況にある。その結果、選定前に多くの事業者が、同一海域で同一事業を対象とした地元での説明や海域調査のための船舶調整、環境影響評価法などの各種手続を行っており、それが地域における大きな混乱・負担、行政コストの増大につながっているという指摘がある。

こうした状況を踏まえ、より適正な環境配慮を確保する新たな制度として、中央環境審議会で一般海域において洋上風力発電事業の推進する「促進区域」が指定される前の段階において、環境省が詳細な環境情報を取得するための現地調査を実施する仕組みが適切だとする答申が出され、今年3月に関連法案が閣議決定された。「北海道岩宇、南後志地区沖」、「北海道島牧沖」、「北海道檜山沖」、「山形県酒田市沖」では、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が2023年度以降にセントラル方式の環境調査を実施している。

セントラル方式の
フロントランナーを目指す

骨子案

意見集約の骨子案(出典 経済産業省)

続いて事務局から、促進区域の指定に向けて意見集約の骨子案が示された。骨子案の内容は、選定事業者は基金への拠出を通して、地域や漁業との協調策・共生策を講じること、基金は「発電設備出力(kW)✕250✕30」で算定する金額とすること、漁業・北海道電力泊原子力発電所・気象レーダー・海底直流送電など設備に制約が生じないように留意して洋上風車を設置すること、日本におけるセントラル方式のフロントランナーとして漁業振興策や地域振興策をはじめとする地域の将来像をつくりあげることなどとなっている。

北海道電力泊原子力発電所への配慮について、北海道ゼロカーボン推進局は泊発電所から10キロ以内に洋上風車を設置しないことで地元自治体の了解を得たと報告し、北海道電力側もこれを了解した。

会議では、6つの町村と3つの漁業協同組合から洋上風力発電事業を活用した漁業振興策・地域振興策の将来像が示された。寿都町の片岡春雄町長は、沿岸の6町村を代表して、洋上風力発電の導入により見込まれる地域共生金については、当海域内の漁協で均等には配分されること、固定資産税については6町村に均等に配分されること、発電事業者による地域共生策については、導入の恩恵が可能な限り幅広く、かつ公平に享受できるようにすることを要望した。

古宇郡漁業協同組合の池守力組合長は、海域の利用調整にあたっては、関係漁業者と十分な協議を行うことを前提として、風力発電設備の設置場所、海底ケーブルの敷設などの計画策定を行うこと、促進区域の予定区域には定置漁業権が多く設定されていて、高利用の漁場もあることから、設置箇所の計画策定にあたっては、必ず関係漁業者に確認をとることなどを要望した。

泊原子力発電所から
10キロ以内に風車を設置しない

泊原子力発電所

北海道電力泊原子力発電所

北海道電力泊原子力発電所への配慮について、北海道ゼロカーボン推進局は泊発電所から10キロ以内に洋上風車を設置しないことで地元自治体の了解を得たと報告し、北海道電力側もこれを了解した。

次回の法定協議会では、漁業影響調査や漁業振興策、地域振興策の具体的な内容について協議する予定。経済産業省資源エネルギー庁風力事業推進室の福岡功慶室長は「この海域は、沿岸の自治体で濃密な議論を重ねて、地域の将来像がしっかり整理されている。環境アセスメントを迅速に進める方法や漁業影響調査の進め方を適切に検討していきたい」と話した。最後に座長をつとめる東京大学の荒川忠一名誉教授が「セントラル方式のフロントランナーになるよう、みなさんとチカラを合わせていきたい」と述べた。

12月12日(木)に開催する「第4回WINDビジネスフォーラム」では、北海道岩宇・南後志地区沖の沿岸自治体である寿都町公営企業企業管理課の風力発電事業係長 土開直樹氏が「再生可能エネルギーを活用したまちづくり」について講演します。


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DATA

北海道岩宇・南後志地区沖 法定協議会


取材・文/高橋健一

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