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アカデミアによる洋上風力の国際会議をアジア太平洋地域で初開催

九州大学洋上風力研究教育センター(RECOW)は、世界最高水準の洋上風力関連研究・教育の拠点づくりを目指している。リレーコラムの2回目は、第1回アジア太平洋洋上風力技術会議(APCOW2024)を開催した副センター長の胡長洪教授に拠点づくりの取り組みを聞いた。

メイン画像:APCOW2024(The 1st Asia Pacific Conference on Offshore Wind Technology)には、アジア太平洋地域の研究者や専門家約200名が集った。(提供:九州大学洋上風力研究教育センター)

<目次>
1.アジア太平洋地域で初の国際学会に手応え
2.国産の分散型電源である中小型風車の可能性に着目

 

アジア太平洋地域で
初の国際学会に手応え

海洋浮体に関する流体構造連成解析をテーマにした私の研究室では、新型洋上風車用の浮体や、TLP(緊張係留方式浮体)を用いた浮体式風況観測塔などについて研究開発を行っています。「浮体式洋上風力の最先端技術を学びたい」という学生が世界中から集まってきており、博士課程と修士課程の学生が多数所属しています。若い人々は、人類が直面した深刻な環境問題や気候変動問題の解決策として、洋上風力をはじめとした再生可能エネルギーの利用に高い関心を持っていると感じます。

RECOWは昨年11月25~27日、九州大学西新プラザ(福岡市)で第1回アジア太平洋洋上風力技術会議(APCOW2024)を開催しました。洋上風力に関するアカデミア主体の国際学会はこれまで、欧州と米国で開催されています。洋上風力発電の導入は今後、アジア太平洋地域でますます加速するでしょう。一方、洋上風力導入に関する社会・環境条件について、アジアと欧州では異なる面が多くあります。こうした背景から、共通点が多いアジア太平洋諸国の研究者や専門家を一堂に会して、アカデミアの側面から洋上風力発電の最新動向や課題の解決策について議論を深める場が必要だと考え、APCOWの実施を発案しました。

当初、100名程度の参加を見込んでいましたが、結果は予想の2倍を超える参加があり、アジア太平洋地域や欧米などの合計13ヶ国から参加者が集まりました。92編の投稿論文が21のセッションに分けて発表され、浮体式洋上風力発電装置の性能評価、風車ウエイク干渉、次世代技術に関するフロンティア研究、社会的課題へのアプローチなどのテーマに多くの関心が寄せられていました。学術界と洋上風力産業界の連携を促進する「産業セッション」では、「産業界はアカデミアに何を求めるか」というテーマで企業などからの招待講演を行いました。また、博士課程の学生を中心に59名の若手研究者が参加しました。APCOWは今後、アジア太平洋諸国の持ち回りで毎年開催される予定です。APCOWでは参加者同士の学術交流や産学交流を通じて国際ネットワークを構築し、洋上風力関連技術の発展に寄与していきたいと考えています。

 

 

国産の分散型電源である
中小型風車の可能性に着目

近年、主力電源を目指す風車の超大型化が進められていますが、分散型電源として中小型風車も注目されています。エネルギー需要地の近くで発電することが可能であり、離島や過疎地域の脱炭素に役立ちます。中小型風車と太陽光発電、蓄電池を組み合わせた独立再生可能電源システムの開発と商用化によって、離島やアクセスが困難な地域でも必要なエネルギーを確保しやすくなるでしょう。中小型風車は純国産技術であり、国内のサプライチェーンで製造可能です。エネルギーの安全保障においても意義があります。九州大学が開発している小型レンズ風車は分散型電源として有望視されており、現在は中型レンズ風車の開発を行っています。RECOWは中型レンズ風車の開発や、複数機を組み合わせたマルチローターシステムの研究を推進しており、分散型エネルギー社会の実現に貢献したいと考えています。

PROFILE

九州大学洋上風力研究教育センター
副センター長

胡長洪(ふー ちゃんほん)教授

 

 


取材・文:山下幸恵(office SOTO)

WIND JOURNAL vol.8(2025年春号)より転載

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