【洋上風力第4ラウンド】鹿児島県いちき串木野市沖 事業化に向けて国に情報提供
2025/05/02

鹿児島県は4月25日、薩摩半島西方のいちき串木野市沖で洋上風力発電の事業化に向けて、国に情報提供を行った。国に情報提供を行うのは、鹿児島県内では初めて。
5市1町と15漁協が
2023年に研究会を設立
鹿児島県いちき串木野市沖
いちき串木野市沖の洋上風力発電をめぐっては、2023年8月に沿岸のいちき串木野市、薩摩川内市、阿久根市、日置市、南さつま市、長島町の5市1町と、関係する15の漁協などからなる研究会を設置し、候補区域を検討してきた。いちき串木野市は、21年に独自の洋上風力発電調査研究協議会を立ち上げ、ゾーニングマップを作成するとともに、漁業振興策や港湾エリアの活用方法について検討を重ねている。しかし、鹿児島県は24年5月、「利害関係者の理解が得られていない」として、国への情報提供を見送っている。
洋上風力発電の事業化を検討しているのは、薩摩半島西方沖のいちき串木野市沖約5キロの海域だ。今後は、経済産業省と国土交通省が、有識者による第三者委員会に諮問するなどして、「有望な区域」や「準備区域」への整理を検討する。再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業に関して、九州地方では今年4月までに長崎県五島市沖と長崎県西海市江島沖が「促進区域」に指定されている。福岡県北九州市響灘沖と佐賀県唐津市沖は準備区域に整理されている。
かごしま未来創造ビジョンで
再エネ導入促進を目指す
いちき串木野市の調査研究協議会が作成したゾーニングマップ(出典 いちき串木野市)
鹿児島県は24年9月に改訂した「かごしま未来創造ビジョン」で、地域特性を生かした再生可能エネルギーの導入を促進する方針を打ち出している。このなかでは、森林や畜産、温泉、広大な海域など、本県の多様で豊かな資源を活用し、自然環境に配慮しつつ、地域との共生を図りながら、水力発電、バイオマス発電、地熱発電、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を促進する。さらに地域の資源を地域で利用する「エネルギーの地産地消」を促進することにより、雇用の拡大や地域の活性化を目指すとしている。特に、離島においては、蓄電池を活用した地産地消型再生可能エネルギーの導入を推進し、エネルギーの自給率の向上、非常時のエネルギー確保及び雇用創出による地域活性化を図ることにしている。
DATA
取材・文/高橋健一