【洋上風力第2ラウンド】秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖 3年後の運転開始に向け陸上工事が本格化
2025/07/10

洋上風力第2ラウンドの「秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖」で、4月から陸上送変電工事を開始した。一般海域の着床式洋上風力発電事業では、最も早い2028年6月の運転開始を目指す。
メイン画像:秋田県政記者向け事業説明会(出典 男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energy合同会社 )
ラウンド事業で最速の
2028年6月の運転開始を目指す
秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖の選定事業者(出典 男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energy合同会社 )
秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖の選定事業者は、JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力の4社で構成する「男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energy合同会社」。代表企業はJERA。
男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energy合同会社によると、陸上送変電工事は、風車で発電した電気を変電所に送るため、ケーブルを埋設する。4月上旬から電気ケーブル埋設に向けて測量を開始し、5月下旬から掘削工事に着手している。掘削作業の開口や通行規制が生じる農道での作業は、農繁期を避けて実施する。
秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖
秋田港では4月1日に工事を開始した。風車部品の搬入や保管をするスペースを確保するため、整地作業を行っている。7月からは陸上の変電工事を開始する予定。洋上工事の基礎施工は2027年4月から、海底ケーブルの施工は27年5月から、洋上風車の設置は27年8月から取りかかる。運転開始予定時期は28年6月。一般海域の着床式洋上風力発電事業では、最も早く運転を始める予定。
メンテナンス港は
船川港を活用
事業計画の概要(出典 男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energy合同会社 )
事業計画によると、発電設備は着床式。発電設備出力は31万5000kW (1万5000kW×21基、Vestas製)。対象海域は5315.3ha。供給価格は、ゼロプレミアムの3円/kWh。
建設・撤去時の拠点港として、基地港湾の秋田港を利用する。メンテナンス港は、男鹿市の船川港を利用する。船川港は、秋田港と能代港のほぼ中間に位置する。男鹿半島の南側に立地することから、日本海特有の北西の季節風の影響を比較的受けにくいという特長もあり、基地港湾の補完港としての利活用が期待されていた。
鹿島建設と五洋建設が
洋上工事を担当
事業スケジュール(出典 男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energy合同会社 )
洋上風車の製造・納入は、デンマークの大手風車メーカー、Vestasが担う。Vestasの風車は、第2ラウンドの「秋田県八峰町、能代市沖」、「長崎県西海市江島沖」でも採用された。「新潟県村上市、胎内市」ではGEの風車を採用する予定。
風車メンテナンスは、VestasとO&M子会社が担当する。運転管理は、J-POWERグループのJ-Powerハイテックなどが担う。CTVの供給と運行管理は、日本郵船の共同企業体と東京汽船の共同企業体が担当する。
男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energy合同会社は、「再エネ海域利用法に基づく国内最初の着床式洋上風力発電事業の事業者として、責任ある事業運営を通じて、2050年カーボンニュートラルの実現と男鹿市、潟上市及び秋田市をはじめとする地域経済の発展に貢献することを目指しております。本事業は、事業期間が長期にわたり、風力発電事業として大規模なプロジェクトです。漁業関係者をはじめ、地域の皆様および関係各所のご理解とご協力を賜りながら、今後も地域と共生し、着実に事業を推進してまいります」とコメントしている。
DATA
取材・文/高橋健一