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ユーラスHD、バードストライク防止対策で日中停止していた13基の運転再開 北海道の風力発電所

ユーラスエナジーホールディングスは、北海道幌延町の「浜里ウインドファーム」で海ワシ類のバードストライクの発生防止を目的に日の出1時間前から日没までのあいだ、停止していた13基の運転を7月12日から再開したと発表した。

メイン画像:浜里ウインドファーム(出典 ユーラスエナジーHD)

<目次>
1.運転開始直後からバードストライクが発生
2.昨年12月から忌避音発生システムを導入
2.7月12日から13基の運転を再開

 

運転開始直後から
バードストライクが発生


浜里ウインドファームの対応経緯(出典ユーラスエナジーHD)

浜里ウインドファームは、ユーラスエナジーホールディングス(ユーラスHD)のグループ会社である合同会社道北風力(本社:北海道稚内市)が運営している。4300kWの風車が14基設置され、総出力は4万7500 kW。2023年5月に運転開始した。風車は、シーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー社製。

この発電所では、運転開始直後からオジロワシのバードストライクが発生したことから、鳥類の専門家とも協議し、さまざまな対策を講じてきた。海ワシ類からの視認性を向上させる環境保全措置として、23年9月にタワー側面およびナセル上部に目玉模様の施工を実施している。しかし、その後も海ワシ類のバードストライクが複数発生したことから、24年12月から、新たな防止策として、欧州で実績があるバードストライク対策システムを国内で初めて導入した。

 

 

欧州で実績がある
バードストライク対策システムを導入


バードストライク対策システム(出典 ユーラスエナジーHD)

新たな防止策は、風車のタワー10メートルの高さに、360度カメラおよびスピーカーをタワー側面の四方に設置し、カメラで遠方から風車に接近する鳥類を検知して、危険域に侵入した際にスピーカーから忌避音を発生させ、鳥類の進路変更を促すものだ。風力発電所の全14基に、バードストライク対策システムを設置し、24年12月から試験運用を開始したが、その後もバードストライクが複数発生している状況を踏まえ、海ワシ類の保護を最優先に考え、鳥類の専門家のご意見も参考に、今年3月25日より海ワシ類が活動する日の出1時間前から日没までのあいだ、14基すべての運転を停止した。

7月12日から
13基の運転を再開

ユーラスHDは、春の渡り時期が終了し、サイト内の海ワシ類飛翔数減少を確認したことと、昨年導入したバードストライク対策システムの調整・改善を実施したことを踏まえて、鳥類の専門家とも協議した結果、バードストライク発生回数の多い1基を除いた13基について、日中の運転を7月12日から再開した。

バードストライク対策システムの調整・改善については、海ワシ類接近を検知した際に発する忌避音の音量アップと、ナセル上部への忌避音スピーカーの追加設置をしている。ユーラスHDは、「今後も自然と風力発電の共生を目指し、バードストライク対策システムの効果検証を継続的に推進するとともに、バードストライク防止に向けた取り組みを一層強化してまいります」とコメントしている。

【実施した調整・改善】
1.海ワシ類接近を検知した際に発する忌避音の音量アップ
2.ナセル上部への忌避音スピーカーの追加設置(主に発生頻度の高い北側・内陸側の風力発電機7基に実施)

DATA

浜里ウインドファームの日中の運転再開について

浜里ウインドファーム


取材・文/高橋健一

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