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福島県の公募事業、阿武隈風力発電所が運転開始 “地域の交流と防災の拠点に”

福島県の公募事業として建設された阿武隈風力発電所が、今年4月に運転を開始した。発電出力は、陸上風力としては国内最大規模で、地域の交流拠点や防災拠点としての機能を備えているのが特徴だ。

アイキャッチ画像:阿武隈風力発電所。発電所の全景は上空からしか撮影できないという。筆者撮影

<目次>
1.地域の理解を大切に環境に配慮した建設工事
2.管理事務所を交流と防災の拠点に

 

地域の理解を大切に
環境に配慮した建設工事


変電設備用地に設けられた展望施設。菜種油を使った変圧器が使用されている。筆者撮影

福島復興風力合同会社の阿武隈風力発電所は、発電出力が14,700kWで国内最大の陸上風力発電所だ。阿武隈山地の葛尾村、浪江町、大熊町、田村市の4つの市町村の尾根沿いに、1基あたりの出力3,200kWの風車が46基立ち並んでいる。今年4月、商用運転を開始した。

このプロジェクトは、震災後の2017年に「再エネ推進ビジョン」の実現を掲げる福島県の公募事業としてスタートした。住友商事をはじめとする9社が出資して設立した「福島復興風力合同会社」は、福島県による公募において事業者として選定され、同県より支援事業費補助金の交付を受けて、発電所の開発を進めてきた。同社の平野貴之代表は、「この事業は福島県の復興を支える力となることを目指しています。地域の方々のご理解をいただくことを大切にして、工事に取り組んできました」と振り返る。

プロジェクトの当初、発電所用地の一部には帰還困難区域も含まれていたという。「内閣府の土地活用スキームに基づいて、除染と同等の処理を行ったことによって、今年3月末、ようやく発電所全域の避難指示が解除されました。また、国有林に発電所を建設するため、ヤード面積を通常の約半分にするなど、伐採面積を最小にするさまざまな工夫を行いました。建設工事にあたっては、清水建設をはじめとするみなさんに大変苦労していただいたと感謝しています」(平野氏)。

地域の理解を得るため、近隣の住民に工事の様子を見学してもらうなどの取り組みも行ったという。「工事の後半に、地域の方々を工事現場にお招きして工事の様子を見てもらいました。関係者ではない方々が工事現場に入ることは異例ですが、安全に配慮した上で見学してもらい、プロジェクトへのご理解を深めていただけたと感じています。運用開始後も、地域の方々のご理解をいただくことを大切にしていきたいと考えています」と平野氏は話している。

 

 

管理事務所を
交流と防災の拠点に


阿武隈風力発電所の管理事務所1階のキッチン。筆者撮影

阿武隈風力発電所の管理事務所には、1階に多目的室やキッチンが設けられ、地域の交流拠点や防災拠点としても活用されている。「先ほどの通り、この地域は避難指示が出ていたことから、住民の方々が集まる場所があまりありませんでした。多目的室やキッチンは、常時は地域の寄り合いどころとして、非常時には避難所や物資供給の支援拠点として活用していただきたいと考えています」(平野氏)。

阿武隈風力発電所の管理事務所。2階は発電事業者や風車メーカー、O&M事業者が常駐して、発電所の運用を行っている。筆者撮影

また、変電設備用地には展望施設やトイレを設け、見学者が立ち寄れるスポットとして整備した。平野氏は、「ぜひ多くの皆さまにこの発電所を訪れていただきたいと思います。阿武隈風力発電所の安全な運用を通じて、福島の復興に貢献していきたいと考えています」と力を込める。

 

 

DATA

福島復興風力合同会社 阿武隈風力発電所


取材・文/山下幸恵(office SOTO)

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