注目キーワード

English 日本語

業界トピック

日本貿易会の安永会長 洋上風力の事業環境整備「官民が連携して議論すべき」

三井物産の会長で日本貿易会の安永竜夫会長は9月17日の定例記者会見で、洋上風力発電の事業環境整備について「官民が双方で勉強して案件を実現していくには何が必要かを協議していくことが必要ではないか」と述べた。

<目次>
1.技術的、経済的な困難さが増してきている
2.官民が連携して 議論する必要性を強調

 

技術的、経済的な困難さが
増してきている

新潟県村上市 胎内市沖
洋上風力第2ラウンド「新潟県村上市・胎内市沖」

三井物産は、洋上風力第2ラウンド「新潟県村上市・胎内市沖」の事業に参画している。17日の定例会見で、記者からの質問に対して安永氏は、個別の事案について触れることは難しいので一般論として申し上げると前置きしたうえで、「洋上風力を取り巻く環境は日本のみならず世界的に非常に厳しい状況にあると言わざるを得ません。技術的、経済的なプロジェクトの困難さが増してきていることは事実だと思います。より大きな発電量を求めれば、大型化を余儀なくされます。例えば、台湾で建設が進んでいる大型の洋上風力は、土台を含めたポールの高さが120m、ブレードの直径が200mの風車を建設しており、厳しい気象条件の中で維持管理がさらに難しくなります。また、日本国内にはサプライチェーンが存在せず、ブレード(羽のようなパーツ)は欧州から輸入し、ナセル(風力タービンの中核部分)も国産化には何百機と継続的に作っていくという規模感がある程度コミットされないとサプライチェーンが成り立ち得ませんので、市場規模をある程度考える必要があります。また、インフレもあり設備投資額が物凄く膨らんできていることも事実です」と述べ、洋上風力発電の事業環境が困難な状況であるとの認識を示した。

官民が連携して
議論する必要性を強調

そのうえで安永氏は、「こうした環境の中で、官民で実現可能性を話し合って、どの程度なら設備費、建設費を低減できるのかといったさまざまな工夫を事業者側もやらなければならないと思いますし、どのような環境に合わせた柔軟な制度設計が可能なのかといったことを政府にも検討してもらい、官民が双方で勉強して案件を実現していくには何が必要かを協議していくことが必要ではないかと思っています」と述べ、官民が連携して議論していく必要性を強調した。

DATA

会長定例記者会見(2025年9月17日)要旨

取材・文/高橋健一

広告お問い合わせ

アクセスランキング

  1. 【洋上風力第1ラウンド】秋田、千葉の3海域全面撤退で疑心暗鬼 洋上風力と漁業共生の行方は?
  2. エネルギー分野で活躍する女性の挑戦を後押し イベントを開催
  3. 石川県輪島市検討協議会、浮体式洋上風力の誘致推進を決議 震災復興へ
  4. 日本貿易会の安永会長 洋上風力の事業環境整備「官民が連携して議論すべき」
  5. 長崎県五島市沖の浮体式洋上風車 来年1月稼働へ建設大詰め、大型量産化に対応した技術開発も
  6. 『WIND JOURNAL』vol.09[2025年秋号]9/17発行!
  7. 【特集】洋上風力「第1ラウンド」の動向まとめ 第2、第3ラウンドの事業継続は?
  8. 【特集】洋上風力「第4ラウンド」の動向まとめ 異例の展開のラウンド事業の行方は?
  9. 陸上風力におけるリスクマネジメント 必要とされるO&Mと保険の姿とは
  10. 【第2ラウンド深堀り解説①】第2ラウンド4海域 それぞれ別々の企業連合が選定事業者に

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正