秋田市 ブレード落下事故を受けて独自の安全確保策を検討
2025/11/27
今年5月に秋田市で発生したブレード落下事故を受けて、市は11月7日、風車の設置や管理に関する独自の安全確保策を検討する考えを明らかにした。市の新エネルギービジョンに安全確保策を盛り込む方針だ。
メイン画像:秋田市再生可能エネルギー推進検討委員会(出典 秋田市)
風力発電事業における
安全の確保を施策展開に追加

今年5月に秋田市で発生したブレード落下事故
この方針は、11月7日に開催された2025年度の第3回秋田市再生可能エネルギー推進検討委員会で示された。秋田市は、エネルギー政策の指針となる新エネルギービジョンの施策展開のなかに「風力発電事業における安全の確保」という事業を追加する案を提示した。
そのなかでは、今年5月に秋田市で発生した風車ブレードの落下事故については、関係事業者と国により、事故原因の究明が進められている。市では、事故原因の究明の状況を注視し、安全基準および点検方法の見直しや、設置・運営に地方自治体が一定程度関与できる仕組みづくりを検討するよう、国へ要望するとともに、その対応状況を踏まえ、ガイドラインの設定などにより、本市が独自に風力発電の設置や管理について関与できる手法を検討するとしたうえで、風力発電事業者には、引き続き現行法令などに基づき、適正に発電施設を管理・運営するよう要請するとともに、安全基準などが見直された場合には、適切に対応するよう求めていくとしている。
風車の設置や管理に関する
独自の安全確保策を検討

破損したブレードの搬出作業 (出典 新エネルギー技術研究所)
「風力発電事業における安全の確保」の主な取り組みとしては、(1)法令などに基づき適切に発電事業が行われるとともに安全基準などが見直された場合には、適切に対応するよう発電事業者に働きかけること、(2)秋田県や県内自治体と連携しながら、発電事業が安全に実施されるための取り組みなどについて検討を行うこと、(3)国などの対応状況などを注視し、必要に応じてガイドラインの設定など、本市が独自に発電設備の設置や管理に関与ができる手法を検討することの3点について検討する方針を明らかにした。
秋田市の沼谷純市長は、今年5月のブレード落下事故を受け、風車の設置や管理に対して、自治体が一定程度関与できる法的な仕組みが必要だとして、事故原因の早期究明や安全基準の見直しとともに、自治体が関与できる仕組みの創設を国に要望していた。秋田市新エネルギービジョンの改定案は、来年度からの適用を目指している。
DATA
取材・文/高橋健一
2026年1月16日(金)に開催する「第5回WINDビジネスフォーラム」では、2025年5月に秋田市で発生したブレード落下事故を受けて、九州大学応用力学研究所 教授の内田孝紀氏が「風力発電の安全対策と信頼回復」をテーマに講演します。

いま、日本の洋上・陸上風力発電は大きな岐路に立たされています。大学の研究者や自治体の政策責任者、最先端テクノロジーの開発企業などをお迎えして、オンラインイベントを開催します!事前登録のみで無料ご参加いただけますので、お気軽にご参加ください。









