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洋上風力「千葉県九十九里沖」で第1回協議会開催 促進区域への早期格上げに期待高まる

洋上風力「千葉県九十九里沖」の第1回法定協議会が昨年12月15日に開かれた。3年前に「有望区域」に整理され、ようやく協議会の開催にこぎつけたが、沿岸の自治体と漁業協同組合が事業推進に前向きな意向を示し、促進区域への早期の格上げへの期待が高まっている。

<目次>
1.冬季に有望区域を航行 業界団体が安全確保を要望
2.沿岸の4漁協は事業容認 漁業振興と安全確保を要望
3.沿岸自治体から 経済波及効果への期待感
4.促進区域への 早期格上げに期待高まる

冬季に有望区域を航行
業界団体が安全確保を要望


千葉県九十九里沖の風況(出典 経済産業省)

千葉県九十九里沖は、2022年9月に再エネ海域利用法に基づく「有望区域」に整理された。九十九里町、山武市、横芝光町の沿岸から約10キロ沖合の海域が対象。第1回法定協議会では、足利工業大学の永尾 徹特任教授が座長に選任された。その後、事務局が洋上風力発電導入の意義、再エネ海域利用法の説明、区域指定の流れ、事業公募における審査の流れ、促進区域の海域占用、法定協議会の位置づけなどについて説明した。

九十九里沖で洋上風車の設置を想定している海域は、水深が30m前後、船舶通行量はひと月に31隻未満で、海面からの高さ120m地点の風況は7.5~8.0m、港湾や漁港との重複はない。


船舶通行量の季節変動(出典 日本内航船海運組合)

協議会では、日本内航船海運組合から船舶通行量について、31隻未満という数字は船舶自動識別装置(AIS)を搭載している大型船のみのデータで、非搭載の小型船舶が含まれていないことが指摘された。そのうえで、毎年2月には冬季のしけを避けるため、小型船が有望区域のエリアを航行しているとして、安全運航の確保についての要望が出された。

 

 

沿岸の4漁協は事業容認
漁業振興と安全確保を要望

続いて九十九里、銚子市、海匝、夷隅東部の4つの漁業協同組合の代表が意見を述べた。九十九里沖は黒潮と親潮が交差する国内有数の好漁場で、古くから引き網や固定式刺し網、小型底引き網、引き縄、タコつぼなどの漁が行われ、豊富な漁獲高を維持している。各漁協は、洋上風力発電事業について約10年間にわたって検討を行っており、いずれの漁協も事業推進を容認し、反対の立場を示すところはなかった。

そのうえで、漁業者の生活や操業、海域への影響を最小限にするため、漁場の保全と地域の実態を十分に踏まえた漁業振興策の策定と漁船操業の安全確保に向けて、協議会などで丁寧に協議を進めていくことを要望した。これに関連して千葉県漁連は、漁業振興策については先行する第1ラウンド「銚子市沖」の事例に沿った形でバランスを取ってほしいと要望した。

沿岸自治体から
経済波及効果への期待感

また、沿岸の九十九里町、山武市、横芝光町の首長などは、漁業共生だけでなく地域共生にも留意するよう求めた。サプライチェーンやメンテナンスなどに地元企業が参画し、産業振興による雇用創出を期待する一方、砂浜である九十九里浜には海水浴場もあり、景観の悪化や浸食による影響を懸念する声も出された。

そのなかで、九十九里町の浅岡厚町長は「鳥類や海洋生物への影響、漁船からの視認性、夜間照明に関する十分な調査と検討をお願いしたい」、山武市の松下浩明市長は「ハマグリを中心とした浅海漁業への影響も考えてほしい」、横芝光町の小川健二産業課長は「就労の場を広げる新たな関連産業創出にも期待している」と述べた。

促進区域への
早期格上げに期待高まる


協議会の意見集約と地域の将来像のイメージ(出典 経済産業省)

昨年12月に法定協議会が動き出し、沿岸の漁協や自治体も事業推進に前向きな意向を示していることから、九十九里沖は促進区域への早期の格上げが期待される。この海域は、促進区域の「銚子市沖」と準備区域の「旭市沖」が北側に隣接し、有望区域の「いすみ市沖」が南側に隣接している。出席者からは、今後こうした事例が増えていくなかでの先行事例として、隣接した海域とのシナジー効果を模索することで、より良い事業を構築できるなどの期待の声も出された。

九十九里沖は、昨年9月にCCS事業法に基づく特定区域に指定されている。洋上風力とCCSの事業計画を同一海域で進めるのは全国初のケースだ。協議会で漁業関係者が洋上風力とCCSを一体的に進めてほしいと要望したのに対して、資源エネルギー庁の担当者は「連携して支障がないように進めていきたい」と述べた。海域を有効利用する脱炭素化の先行事例として、九十九里沖への関心が一気に高まりそうだ。

 

 

DATA

千葉県九十九里沖の法定協議会

取材・文/宗 敦司

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