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北海道岩宇・南後志地区沖・島牧沖 セントラル方式で初の浮体式サイト調査がスタート

北海道岩宇・南後志地区沖(浮体)と島牧沖(浮体)の2海域で、セントラル方式による初の浮体式サイト調査が実施されている。来年度は水深が深いエリアで海底地盤調査が本格化するが、地元関係者や事業者の負担軽減と案件形成の加速化が期待されている。

メイン画像:北海道島牧沖(浮体)の風況観測機器(写真提供 日本気象)

<目次>
1.セントラル方式が 2025年度から基本化
2.北海道の浮体式2海域で 海底地盤調査をスタート
3.安全で品質の良い データ取得に努めたい

セントラル方式が
2025年度から基本化


サイト調査を行う海域のイメージ(出典 JOGMEC)

「水深100メートル以深の海域について、実証試験としての事例はありますが、これほど広域かつ深いところで商用レベルの調査を実施するのは初めての取り組みとなります」と話すのは、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)洋上風力事業部の福田真人調査課長。JOGMECは、国のセントラル方式による風況・海底地盤・気象海象のサイト調査の実施を担っている。

政府は2025年1月、一般海域における占用公募制度の運用指針を改訂し、25年度からセントラル方式のサイト調査を基本化する方針を正式に打ち出した。セントラル方式は、区域の指定や事業者の公募、サイト調整、環境影響評価などを国が代行して行う制度で、欧州では広く採用されている。公募に参加する事業者の調査の重複を解消し、公募の公平性や事業リスクの低減を図るのが目的だ。これまでの制度では、公募に参加するすべての事業者が対象海域の風速や地質を事前に調べる必要があった。政府は、国内の地域特性に合わせた「日本版」としてセントラル方式を導入し、地元関係者や事業者の負担軽減につなげる考えだ。

24年度は、山形県「酒田市沖」、北海道「岩宇・南後志地区沖(浮体)」、北海道「島牧沖(浮体)」の計3海域が調査対象区域に選定された。このうち、着床式の「酒田市沖」では24年5月から海底地盤調査を、同年11月から風況調査を本格実施している。

 

 

北海道の浮体式2海域で
海底地盤調査をスタート

浮体式の北海道「岩宇・南後志地区沖(浮体)」と「島牧沖(浮体)」では、25年10月から風況調査を実施している。海底の基礎調査は、「岩宇・南後志地区沖(浮体)」では25年5月から、「島牧沖(浮体)」では6月からスタートした。来年度は、浮体式海域でのJOGMEC調査としては初めて、ボーリング調査の一種であるCPT調査(コーン貫入試験)を実施する予定。

北海道「岩宇・南後志地区沖(浮体)」と「島牧沖(浮体)」の海底地盤調査では、海底の形状や底質(泥、砂、岩)、地盤の硬さといった基本的な地盤の性質を調べ、さらに、浮体係留索を海底に固定するアンカーの設計に必要な地盤性状を抽出する。JOGMECの福田課長は、「日本の近海は水深の変化が大きく、傾斜がきつい場所があります。欧州のように平坦な海底ではないため、地盤の傾斜が課題のひとつになると考えています。調査を進めるなかで、アンカーが効きづらい地質が明らかになる可能性もあります」と説明する。

2つの海域で海底地盤のボーリング調査が実施される予定なのは、いずれも水深70メートルから130メートルのエリアだ。陸からの離岸距離は、「岩宇・南後志地区沖(浮体)」が0.6~12キロ、「島牧沖(浮体)」が0.8~6キロ。「なかでも「岩宇・南後志地区沖(浮体)」は、岩盤が浅いところに出やすいエリアがあるため、必要な場所で必要な深度の調査をどのように設定していくかが重要なポイントです」とJOGMECの福田課長は表情を引き締める。


陸上から洋上の風況を観測するスキャニングライダー(写真提供 日本気象協会)

浮体式の事業は、陸から離れたところに風車を据え付けるため、風況をいかに正確に把握できるのかが重要なポイントだ。北海道「岩宇・南後志地区沖(浮体)」と「島牧沖(浮体)」では、陸上と海上に風況観測機器を25年10月に設置を完了した。陸上の観測機器は、北海道「岩宇・南後志地区沖(浮体)」の2ヶ所、「島牧沖(浮体)」の1ヶ所の計3ヶ所に、1ヶ所あたり「スキャニングライダー2基(デュアルスキャニングライダー)、鉛直ライダー1基、風況観測マスト1基」をそれぞれ設置している。


波高、波の周期、潮流、風向・風速などを観測するフローティングライダー(写真提供 日本気象)


波高と波の周期を測定する海象観測ブイ(写真提供 日本気象協会)

海上の観測機器は、北海道「岩宇・南後志地区沖(浮体)」にフローティングライダー2基と海象観測ブイ2基、「島牧沖(浮体)」には海象観測ブイ1基を据え付けている。フローティングライダーは波高、波の周期、潮流、風向・風速などを観測するのに対し、海象観測ブイは波高と波の周期のみを測定するが、浮体式の風況観測技術はまだ開発途上の段階だという。「風況観測の大きな目的のひとつは、風車の設計に関わる風の乱れ(乱流)を正確に測ることです。離岸距離の小さい海域では、陸上に設置したスキャニングライダーで乱流を計測することができます。しかし、離岸距離の大きい海域では、陸上からの風況観測が難しいため、フローティングライダーが用いられますが、浮体の揺れによるデータの乱れを、風そのものの乱れと区別して補正する技術が、世界的に確立されていないことが大きな課題です」(JOGMEC 福田課長)。

安全で品質の良い
データ取得に努めたい


案件形成プロセスのイメージ(出典 JOGMEC)

風況データの補正については、国内外の企業が技術開発に取り組んでいる。JOGMECの福田課長は、「政府の再エネ導入目標が定められているなかで、地元関係者や事業者の負担軽減と案件形成の加速化を図るため遅滞なく調査を完了して、その後の公募の流れに影響しないよう、安全かつ品質の良いデータを取得できるように努力していきたいと思います。それを支えるのは、地元のみなさんの理解です。足場を固めるという意味でも、地域のみなさんの理解を深めるための取り組みをしっかりと進めて、調査を確実に進めていきたいと考えています」と力強く語った。

 

 

DATA

「一般海域における占用公募制度の運用指針」を改訂しました

取材・文/ウインドジャーナル編集部

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