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新潟県、浮体式洋上風力導入へ本格調査 利害関係者の把握と調整方法を詳細に検討

新潟県は、村上市・胎内市沖における地域振興策の検討支援とともに、県内のほかの海域での浮体式洋上風力発電の導入可能性を探る基礎調査を委託する事業者の公募を開始した。浮体式については、利害関係者の把握と調整方法を詳細に検討することを求めている。

<目次>
1.浮体式洋上風力の導入に向けた 全県的な課題整理
2.村上市・胎内市沖の地域振興と 持続可能な漁業の構築

浮体式洋上風力の導入に向けた
全県的な課題整理

新潟県は、村上市・胎内市沖以外の県内の海域を視野に入れた、浮体式洋上風力発電事業の導入検討を加速させる。新潟県の沿岸部は、岸から離れると急激に水深が深くなる海域が多く、底置型の着床式だけでなく、より深い海域でも設置可能な浮体式技術の活用が、将来的な導入容量の拡大を図る上で極めて重要である。この事業では、最新の技術動向を踏まえ、県内海域の自然条件や社会条件に適合した導入シナリオを構築することを求めている。

具体的な調査内容としては、想定される利害関係者、特に漁業者などの把握と調整方法の検討を挙げている。沖合の好風況海域は、大臣許可漁業などの不特定多数の漁業者が操業するエリアであるため、漁業実態の可視化や国を交えた広域的な調整枠組みの構築が不可欠となる。また、環境や景観、技術的な制約への対応も重要な項目である。

佐渡金山の景観配慮や、トキをはじめとする希少鳥類の飛来ルートへの影響など、新潟県特有の課題について詳細な分析を行い、それらへの対応案を整理する。さらに、本土への長距離送電に向けた系統接続の課題についても、技術的・経済的な観点から精査を行う方針である。

村上市・胎内市沖の地域振興と
持続可能な漁業の構築


新潟県村上市・胎内市沖

今回の事業のもう一つの大きな柱が、村上市・胎内市沖を対象とした地域振興策の検討促進支援である。この海域は、再エネ海域利用法に基づく促進区域に指定され、三井物産、大阪ガス、RWE(ドイツ)が出資する「村上胎内洋上風力コンソーシアム」が2029年6月の運転開始を目指して事業を進めている。

調査では、発電事業の導入が地域社会に直接的な恩恵をもたらすよう、勉強会の開催や目標・理念のとりまとめを支援し、地元企業への積極的な情報提供を通じた新産業の育成や雇用の確保を目指す。

特に漁業との共生は最優先事項であり、水産資源管理や漁獲情報の共有を通じた漁業経営基盤の強化、さらには地場産水産物の販売力強化といった、持続可能な漁業体制の構築に向けた具体的な取り組みを検討する。加えて、サケを中心としたふ化増殖事業やサケ文化の保全など、地元の伝統的な産業と調和した振興策の策定を支援する。地域の声を事業計画に反映させ、開発に伴う不安を解消し、地元住民が主体性を持ってプロジェクトに関与できる環境を整えることを主要な目的にしている。

スケジュール
4月16日(木) 公募開始
4月22日(水) 質問書提出期限
4月28日(火) 質問に対する回答期限
5月11日(月) 参加申込書提出期限
5月13日(水) 参加提案資格確認結果通知
5月14日(木) 企画提案書提出期限
5月19日(火) 企画提案審査の実施
5月中 委託事業者の決定、公表

DATA

令和8年度新潟県洋上風力発電事業に係る基礎調査業務委託


取材・文:ウインドジャーナル編集部

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