ベスタスとEcowendeがIPMA Awardsを受賞、プロジェクト実行力とパートナーシップを評価
2026/10/07
ベスタスが、オランダ北海沖の「Ecowende洋上風力プロジェクト」で、国際的なプロジェクトマネジメントを表彰するIPMA Awardsを受賞した。Shell、中部電力、Enecoが出資した事業会社と、主要なステークホルダーが密接に連携し、複雑な工程を計画通りにコントロールした実績が評価された。
メイン画像:IPMA Awards2026を受賞したEcowendeのプロジェクトチーム(写真提供 中部電力株式会社)
1.環境に配慮した 大規模洋上風力プロジェクト
2.今後の洋上風力開発の 重要なモデルケースに
3.国内外で築かれた 中部電力とベスタスの信頼関係
4.世界で培った知見と技術で 日本の洋上風力の発展に貢献
環境に配慮した
大規模洋上風力プロジェクト

オランダ北海沖の洋上風力発電プロジェクト「Hollandse Kust West Site VI」(出典 Ecowende)
ベスタスは、Ecowendeとの協力のもと、オランダ北海沖で建設の最終段階を迎える洋上風力発電プロジェクト「Hollandse Kust West Site VI」において、国際プロジェクトマネジメント協会(IPMA)主催の「IPMA Global Project Excellence Awards 2026」の大規模・メガプロジェクト部門で最優秀サステナビリティ・プロジェクトマネジメント賞に輝いた。今年9月に広島市で開催された第35回IPMA世界会議で表彰式が行われた。
Ecowendeは、エネルギー大手のShellが60%、中部電力が30%、オランダの総合エネルギー企業Enecoが10%を出資して設立した特別目的会社(SPC)だ。設備容量は約76万kWで、オランダの総電力需要の約3%を賄う規模である。今年12月の商業運転開始を目指して建設工事が最終段階を迎えており、「Ecological-by-design(自然共生型)」を掲げて設計・開発を進めてきた点が最大の特長である。

自然との調和を重視した洗掘防止対策のイメージ図(出典 Ecowende)
このプロジェクトが進められている北海は、水深が平均約90mと浅く、大西洋からの海水と淡水が交じる栄養豊富な環境が形成されている。イカナゴなどの小魚が大量に繁殖し、それを主食とするウミガラスやミツユビカモメなど数百万羽が飛来する世界有数の海鳥の高密度生息地域となっている。そのため、Ecowendeプロジェクトには北海の生態系への影響を最小限に抑えるための先進的な環境配慮技術が組み込まれている。風車間隔の最適化や、鳥類の飛行ルートを確保するためのハブ高度の引き上げ、鳥類飛来時にAIを活用して風車を自動停止させる「Smart Curtailmentシステム」の導入、岩と岩のあいだに大きな開口部や隙間をつくり自然との調和を重視した洗掘防止対策などが代表例である。風力発電所全体を巨大な研究・実証フィールド「洋上ラボ」として活用し、得られた環境データを研究機関や業界全体に広く共有することで、持続可能な洋上風力発電の開発における新たな国際標準づくりを目指している。
IPMA Awardsにおける高い評価は、こうした高度な環境要件を満たしながら、大規模かつ複雑な洋上施工、コスト、工程、品質管理を高水準で推進したプロジェクトマネジメントの実践が認められた結果である。風力タービンの供給・施工を担うベスタスと、Ecowendeプロジェクトチームによる強固なパートナーシップのもと、主要ステークホルダーが密接に連携し、複雑な工程を計画通りにコントロールした実績が国際的なモデルケースとして評価された。
今後の洋上風力開発の
重要なモデルケースに

第35回IPMA世界会議のパネルディスカッション

Ecowendeプロジェクトディレクター フォルケルト・フィッサー氏
第35回IPMA世界会議では、「持続可能なプロジェクトマネジメントを通じたエネルギー転換」をテーマにパネルディスカッションが開催された。IPMA ESGプログラムのジョバンニ・ピサーノ氏がモデレーターを務め、Ecowendeプロジェクトの中核を担う関係各社のキーパーソンが登壇した。
Ecowendeのプロジェクトディレクターで、Shellのフォルケルト・フィッサー氏は、「この規模のプロジェクトを成功に導くには、優れた技術だけでは十分ではありません。強力なプロジェクトマネジメント、綿密な計画、そしてエンジニアリング、製造、輸送、据付、試運転に至るまで、あらゆる関係者の緊密な連携が不可欠です。Ecowendeを支えるパートナー企業は、オランダ領海内で洋上風力発電所を建設・運用した実績があり、事前の準備が整っていました。だからこそオランダ政府からの厳しい要望に応えることができたのです」と話し、出資各社と主要パートナー企業が一体となって推進したプロジェクト統治の重要性を訴えた。

Ecowendeプロジェクトディレクター スラヴォミル・ミハルク氏
ベスタスのEcowendeプロジェクトディレクター、スラヴォミル・ミハルク氏は、「洋上風力業界は、洋上風力の大規模な導入がエネルギー安全保障、エネルギーの独立性、手頃な価格、そして持続可能性を実現するための最適なソリューションであると確信し、その展開に注力しています。ベスタスの最新鋭洋上機種であるV236-15.0 MWは、昨年、洋上での設置を開始しました。今年6月には100基目、さらに9月には200基目の風力タービン設置を完了しており、私たちはグローバルなエネルギー転換の実現に向けて、着実かつ迅速に産業規模での展開を進めています」と述べ、風車開発の最新動向を説明した。
Ecowendeプロジェクトについては、「ベスタスの最も重要な使命は、お客様の事業価値の基盤となる安定的で信頼性の高い発電を実現することです。しかし、このプロジェクトではそれに加え、高い環境・生態系目標の達成も求められました。プロジェクトを通じて私たちが得た最も大きな成果の一つは、挑戦から得られた学びです。プロジェクトで実施した新たな取り組みや、綿密に検討した計画変更を成功裏に実行したことで、潜在的なリスクは将来のプロジェクトに活かせる知見へと転換され、その多くが実証済みのソリューションとして確立されました。私たちは、Ecowendeプロジェクトが洋上風力産業における新たなベンチマークとなり、今後のグローバルな洋上風力開発において重要なモデルケースになると確信しています。」と語り、高度な協業体制とマネジメント手法の徹底が複雑な課題解決に寄与した点をアピールした。

中部電力グローバル事業本部 國東洋太氏
中部電力グローバル事業本部の國東洋太氏は、「1951年の創立以来、中部電力は安定したエネルギー供給を通じて中部地域の経済成長と日常生活を支援してきました。近年では、グローバル事業を拡大し、再生可能エネルギープロジェクトへの投資を進めて、世界の脱炭素化に貢献しています。Ecowendeプロジェクトは単なる株主としての財務投資ではなく、エネルギー転換と生態系の強化をどのように同時に達成できるかを学ぶ、非常に貴重な機会でした。プロジェクトに関わる会社が共通のビジョンを持ちながら一体となって課題解決に取り組んだことが、プロジェクト成功の基盤となっています」と話し、プロジェクトステークホルダーの信頼関係と目的意識の共有が、プロジェクトの円滑な推進の決定的な要因であったことを強調した。
国内外で築かれた
中部電力とベスタスの信頼関係

中部電力が出資参画する秋田港湾区域の洋上風力発電所(秋田市)
中部電力とベスタスの協業関係は、Ecowendeプロジェクト以前から日本国内で築かれている。中部電力が開発した愛知県田原市の「あつみ風力発電所(発電出力:7400kW)」は、ベスタス製の風力タービンが導入され、運転開始後は協力してO&Mを実施している。さらに両社は、隣接エリアで「あつみ第二風力発電所(発電出力:2万1,000kW)」の建設プロジェクトを進めており、ここでもベスタス製タービンが採用され、運用ノウハウや施工時の協業体制を維持しながら建設工事が進行している。洋上風力においては、ベスタス製タービン採用した秋田県の秋田港・能代港湾区域の事業に、中部電力が出資参画している。
日本国内の洋上・陸上のプロジェクト現場において協力関係を継続してきた両社は、ヨーロッパのEcowendeプロジェクトを通じてその信頼関係をより高度な次元へと高めた。同プロジェクトの進展においてベスタスが果たした役割について、中部電力の國東氏は「風力タービンの製造においては、厳格な標準化と高品質な量産が求められるため、製品仕様の追加やほかのメーカー機器との調整といった個別の要請に対応することは非常に高度な判断を伴います。しかし今回のプロジェクトで、ベスタスには事業会社からのさまざまな提案や技術的検証に対して非常に前向きかつ柔軟に協力していただきました。例えばバードストライク対策として、風車ブレードの赤色への変更を相談した際も、熱影響の解析や比較検証に一丸となって取り組んでいただき、事業会社としてたいへん心強く感じました」と語る。

バードストライク対策で風車ブレードの塗装を赤色に(出典 Ecowende)
さらに國東氏は、「風車の基礎部分への監視カメラの設置や、電気ケーブルの接続を含めた機械的・電気的なインターフェースの調整など、現場での安全で精密な施工に向けたきめ細かな連携にも多大な時間と労力を割いていただきました。Ecowendeプロジェクトは商用事業でありながら先進的な実証事業としての側面も備えており、われわれ事業会社だけでなくベスタスにとっても挑戦的な取り組みであったと感じています。中部電力としては、このプロジェクトで得た知見や、ベスタスとの強固な信頼関係を踏まえて、国内外での洋上風力市場の発展に向けての取り組みを強化していきます」と前を向く。
世界で培った知見と技術で
日本の洋上風力の発展に貢献
風力タービン製造のグローバルリーダーであるベスタスは、最新鋭の超大型タービン「V236-15.0 MW」の日本市場への本格的な導入展開を進めている。Ecowendeプロジェクトにおいても採用されたV236-15.0 MW型機は、高効率な発電能力とサービス性を兼ね備えたモデルであり、今後の大型洋上風力発電所の標準機と位置づけられている。
日本国内においては、一般海域の着床式事業で最速となる2028年6月の運転開始を目指す「秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖の洋上風力プロジェクト」への採用が決定している。同プロジェクトに向けては、今年9月から秋田港へのモノパイル輸送が開始しており、国内における最新型大型風車の施工に向けた現場作業と物流が本格化している。
日本の洋上風力開発においては、欧州とは異なる厳しい自然条件や制度的課題への対応が求められる。地震や台風に対する高度な耐震・耐台風設計はもちろんのこと、認証機関の承認を得るための複雑な解析や調整が必要となる。北海道や秋田県をはじめ、建設予定地ごとに異なる気象・海象条件に合わせてタワーや構造体の強度を高めるカスタマイズが必要であり、認証取得に向けた厳格な条件設定への対応が不可欠である。
「秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖の洋上風力プロジェクト」向けのV236-15.0 MW タービンを採用した風力発電設備は、2026年7月に適合性確認審査への対応を完了しており、強化された耐震性能を有するタワー設計、台風条件を考慮した強化型ナセルおよびスピナーカバー、さらに冬季雷への対応として耐雷性能を向上させた日本仕様の V236-15.0 MW タービンとして、安全性と信頼性が正式に裏付けられている。さらに、国内サプライヤーとの協力拡大による国内サプライチェーンの強化や部材の国内調達の取り組みも注力しているテーマである。

ベスタス・ジャパン カントリーマネージャー ラファエル・ウオ氏
ベスタス・ジャパンのカントリーマネージャーであるラファエル・ウオ氏は、「ベスタスとEcowendeのIPMA Awards選出を誇りに思うとともに、これまでの中部電力との強固なパートナーシップに深く感謝しています。今回の表彰は、ベスタスが最新鋭のV236-15.0 MW型機を用いた大規模かつ複雑な洋上プロジェクトを、円滑に遂行できる実行力を証明するものです。秋田県のプロジェクトをはじめとする日本国内でのV236展開に向け、世界で培った知見と技術を生かしてプロジェクトの成功を確実にするとともに、お客さまやステークホルダーとの協力により、日本の洋上風力の拡大に取り組んでいきます」と意気込みを語る。
IPMA Awardsの審査によって客観的に実証された国際水準のプロジェクトマネジメント能力、Ecowendeで培われた自然共生型設計のノウハウ、実証されたパートナーシップ、そして最新鋭のV236タービンを軸に、ベスタスは事業者や地域社会と連携しながら、日本の洋上風力発電プロジェクトの確実な遂行と持続可能なエネルギーシステムの構築に貢献していく。
問い合わせ

ベスタス・ジャパン株式会社
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取材・文/ウインドジャーナル編集部
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