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政策・制度

沖縄県 洋上風力候補地調査の委託事業者を公募

沖縄県は、洋上風力発電に適した候補地を探す調査の委託事業者を公募する。沖縄県全域を対象に導入の可能性を探るとともに、利害関係者を特定して情報の収集・整理を図り、来年3月までにゾーニングマップを作成する方針。

玉城知事
再エネ導入を拡大

沖縄の台風
極致風速の規制クリアが大きな課題

沖縄県の玉城デニー知事は3月20日の県議会予算特別委員会で、沖縄電力が化石燃料への依存度が高いことについて、「外部環境の変化に強い再エネの導入を拡大する」と答弁した。そのうえで、2023年度に新たに洋上風力発電に適した候補地を探す調査を実施する考えを明らかにした。それと合わせて「離島における蓄電池の設置を含む太陽光発電の予算を拡充して、水素、バイオマス発電の利活用などに向けた可能性調査も実施する」と述べた。

沖縄県は3月30日、洋上風力発電に適した候補地を探す調査を委託する事業者の公募を開始した。この調査は、沖縄県全域にける洋上風力発電に関する各種情の収集・整理を図り、ゾーニング手法を用いて整理・解析を行い、最終成果として「ゾーニングマップ」を作成することにより、本県における「洋上風力発電の導入可能性の検討」を行うことを目的とするとしている。

風力発電の導入について沖縄県は、2022年3月に策定した「沖縄県クリーンエネルギー・イニシアティブ⁽改訂版」」のなかで、県の沿岸は安定した風力発電が可能な年間の平均風速 6メートル以上の地域となっており、陸上風力発電・洋上風力発電の導入ポテンシャルは非常に大きいとしている。その一方で、2016 年に国の風力発電設備建設に係る審査基準が厳格化したことで、沖縄における建設基準となる極値風速は 90m/s となり、現状の技術では大型風車の新規導入が事実上困難な状況となっている。風力発電のポテンシャルを活用するためには、極値風速などの規制をクリアする設備の開発などに向けた働きかけが必要であるとしていた。

来年3月までに
ゾーニングマップ作成

沖縄の海
沖縄県全域を対象に導入可能性を調査

2023年度に実施する調査について沖縄県産業政策課は「沖縄県全域を対象に風況のデータや海底の地形などをもとに来年3月までにゾーニングマップを作成するのが最終目的。それと並行して海域ごとに利害関係者の特定を進めたい。極値風速などの規制をクリアする設備の開発についても導入の可能性調査の対象と考えている。洋上風車の建設に適した海域が見つかれば、2024年度以降に利害関係者との調整を進めたい。着床式の導入の可能性についても検討していきたい」と説明する。極値風速は、風車のハブ(中心部)が受ける10分間の平均風速の最大値。 今後50年以内に再現する可能性がある極限の平均風速を予測した数値を指す。

今回の調査は、企画提案上限額が1000万円以内(消費税及び地方消費税込み)。企画提案は4月14日(金)まで受け付ける。沖縄県内に本社、支社、営業所、事務所等を有する法人であることや、沖縄県が取り組んでいる沖縄県クリーンエネルギー・イニシアティブ等について理解し、仕様書に基づく業務内容を的確に遂行するに足りる組織、人員等を有していることが応募者の資格要件。公募要領と仕様書の主な内容は下記のとおり。

「令和5年度島しょ型エネルギー社会基盤構築事業 業務委託」

1.業務目的
沖縄県は、2022年3月に 2050 年度脱炭素社会の実現に向け、新たな県のエネルギー計画となる「沖縄県クリーンエネルギー・イニシアティブ」(以下「イニシアティブ」という。)を策定した。また、2023年3月には、脱炭素に向けた世界的な潮流や国の動向等を踏まえ、本イニシアティブを改定し、各数値目標(①再生可能エネルギー電源比率、②水素・アンモニア電源比率、③エネルギー自給率)の見直し及びアクションプランの強化等を行った。このような中、県では、本イニシアティブで掲げる数値目標達成に向け、クリーンエネルギー導入拡大に向けた施策展開として、島しょ型エネルギー社会基盤構築事業に取り組んでいるところである。一方で、本県の電力系統は、小規模独立系統のため、天候により変動する再エネの出力抑制対策が困難などの構造的不利性により再エネ導入が進みにくい特殊事業がある。そこで、本業務では、沖縄県全域にける洋上風力発電に関する各種情の収集・整理を図り、ゾーニング手法を用いて整理・解析を行い、最終成果として「ゾーニングマップ」を作成することにより、本県における「洋上風力発電の導入可能性の検討」を行うことを目的とする。

2.企画提案上限額
10,000,000 円以内(消費税及び地方消費税込み)
※ 企画提案のために提示する金額であり、実際の契約金額とは異なる。

3.業務内容
⑴ 計画準備
受託者は、本業務を円滑に実施するため、必要かつ十分な作業体制を構築し、業務の目的、位置づけ、役割等を明記した実施計画書を作成し、業務の工程計画を立案するものとする。主な業務は以下のとおり。
1)業務の条件整理、ゾーニング手法の検討
2)実施スケジュールの検討
⑵ 既存情報の収集・整理
洋上風力発電の導入可能性検討及びゾーニングに必要な自然的・社会的条件等の収集・整理を行う。資料収集過程において、本県のゾーニングで特に配慮すべき事項があれば、適宜追加していく。なお、収集した情報は、GIS(地理情報システム)データとして整理する。主な業務は以下のとおり。
1)既存情報の収集・整理
2)情報の GIS データ化
3)利害関係者の特定
⑶ ヒアリング調査
洋上風力発電の導入可能性検討にあたっては必要なヒアリングを実施し、専門的な知見を得るものとする。ヒアリング対象は、発注者と協議のうえ決定するものとする。主な業務は以下のとおり。
1)事業者等ヒアリング
2)市町村等ヒアリング
3)先行利用者等ヒアリング
⑷ ゾーニングマップ作成
既存情報、整理した GIS データ及びヒアリング調査を活用し、国が示すマニュアル等に準じた手法によりゾーニングを行うももとする。主な業務は以下のとおり。
1)スクリーニング
2)ゾーニングマップ作成
⑸ 導入可能性に係る事業性検討
本県における洋上風力発電の導入可能性について、事業性や施工性について検討する。検討にあたっては、ヒアリング調査結果や専門的事業者、メーカーによる見解を得るものとする。主な業務は以下のとおり。
1)事業性に係る検討
2)施工性に係る検討

⑹ 成果報告書作成
本業務の報告書を作成する。報告書の構成や内容等については、発注者と協議して決定するもの
とする。

4.スケジュール
2023年3月30日(木)~4月14日(金) 公募期間(提案書提出期限)
2023年4月7日(金)15 時(必着) 質問受付期限
2023年4月18日(火)【予定】 一次審査(書面審査)結果通知
2023年4月21日(金)【予定】 二次審査(プレゼンもしくは書面)開催日
2023年4月下旬【予定】 二次審査結果通知‬

DATA

沖縄県「洋上風力発電導入可能性検討調査業務委託」に関する企画提案募集


取材・文/高橋健一

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