石狩湾新港沖、洋上風車14基の総合試運転を開始 元日に商業運転へ
2023/11/30
北海道の石狩湾新港沖で、洋上風車14基の試運転が完了した。今後は風車全基が稼働している状態での陸上蓄電池施設の試験を含む総合試運転を継続し、2024年1月1日に商業運転の開始を予定している。
(アイキャッチ画像 写真提供:株式会社グリーンパワーインベストメント)
最大出力は
11万2000kW
プロジェクトの概要(出典 グリーンパワーインベストメント)
石狩湾新港沖の洋上風力発電プロジェクトは、「グリーンパワーインベストメント」が設立した特別目的会社「合同会社グリーンパワー石狩」が進めている。小樽市と石狩市にまたがる石狩湾新港の沖合に、出力8000kWの風車を14基設置した。最大出力は11万2000kW。一般家庭約8万3000世帯分の電力を賄うことができる。FITにより36円/kWhで、北海道電力ネットワークに20年間売電する予定。今年1月に本格操業を開始した秋田県の秋田・能代港湾区域と比べると、全体の出力は小さいが、単機出力は石狩湾新港沖が2倍近い。
この事業は、陸上工事のEPC(設計・調達・施工)サービスは鹿島建設、洋上工事のEPCサービスは清水建設と日鉄エンジニアリングの共同事業体が担当した。風車はシーメンス・ガメサ・リニューアブルエナジー製を採用、ジャケット式基礎は日鉄エンジニアリングが製造した。
2020年8月から陸上で送電施設の工事が始まり、2022年5月に海上で杭を打設する工事が開始された。石狩湾新港沖の海上工事では、国内で初めて「ジャケット式」の基礎が施工された。今年の9月11日に洋上風車14基の設置工事を終え、11月11日には風車各基の試運転が完了した。今後は風車全基が稼働している状態での陸上蓄電池施設の試験を含む総合試運転を継続し、2024年1月1日に商業運転の開始を予定している。
国内調達比率60%を
すでに達成
ジャケット式基礎の設置工事(写真提供 株式会社グリーンパワーインベストメント)
この事業では風車本体以外の多くの部品を日本国内で調達し、政府目標の2040年国内調達比率60%をすでに達成したとしている。工事期間中には、1000人を超える関係者や地元の小中高生の見学会を実施した。
グリーンパワーインベストメントは、「本事業の推進において、石狩市、小樽市、石狩湾新港管理組合、石狩湾漁業協同組合および地元関係者の皆様の多大なご協力をいただきましたことを感謝申し上げます。今後も安心安全な事業運営に十分配慮しながら、商業運転開始に向けて各種作業を進めてまいります。再生可能エネルギーの普及拡大を通じ、地域の文化的価値を守り、地域の資産や強みとなるようなエネルギーづくりを加速してまいります」としている。
DATA
取材・文/高橋健一