【第3ラウンド動向】 青森県日本海南側、8事業体が環境アセス実施 建設拠点は青森港
2024/02/15
今年1月に発電事業者の公募が開始された洋上風力第3ラウンド。青森県日本海南側には、これまでに8つの事業体が計画を公表していて、山形県遊佐町沖と同様に激しい主導権争いが繰り広げられそうだ。
青森県日本海南側
建設拠点は青森港
青森県日本海南側の促進区域(出典 経済産業省)
第3ラウンドで事業者を公募するのは、「青森県日本海南側」と「山形県遊佐町沖」の2海域。このうち、青森県日本海南側は、県の西部のつがる市と鰺ヶ沢町の沖合で、促進区域は1万375.6ha。着床式の発電出力は60万kWで、モノパイル式基礎の設置を見込んでいる。風車設備の輸送や建設の拠点は、青森港油川埠頭を想定している。
青森県日本海南側の法定協議会では、選定事業者が、地域や漁業との共存共栄の理念のもと、発電事業で得られた利益の地域への還元を目的として、今後設置される基金への出捐などを行うこと。基金への出捐の規模は、系統の最大受電電力量(確保済み系統容量)に、kW あたりの単価(250 円)と公募占用計画の最大認定期間(30 年)を乗じた額、すなわち確保済み系統容量(60 万 kW)×250×30 で算定される額を目安とすることを意見集約している。
また、選定事業者は津軽国定公園区域内および、沿岸住民に対する騒音などの影響防止のため、海岸線から 500m以内の海域には海底ケーブルを除く洋上風力発電設備など(ブレード回転エリアを含む)を設置しないこと。海底ケーブルの設置にあたっては、漁業に支障を及ぼすことがないよう、十分な深さでの埋設を行うこととしている。
公募参加の事業者は
防衛省に事前確認を
つがる市には航空自衛隊や米軍のレーダー施設が設置されている
青森県つがる市には、航空自衛隊車力分屯基地や米軍車力通信所が設置されている。このため、法定協議会では公募に参加する事業者に対し、国へ提出する公募占用計画のうち、発電設備の構造や設置位置について、防衛省に支障がないことを事前に確認するよう求めている。
漁業影響調査については、公募により事業者が選定されたあと、地元の任意協議会に、選定事業者と調査の専門家などを構成員として加え、漁業影響調査の具体的な計画の作成、調査結果・データの公表方法、履行状況および調査結果の評価、調査を行う上で生じた課題などに関する検討を行うとしている。
8事業体が
環境アセスを実施
青森県日本海南側で環境影響評価を実施している事業者
青森県日本海南側では、これまでに8つの事業体が計画を公表し、環境影響評価を実施している。RWE Renewables Japan (ドイツ) 、三井物産、大阪ガスの3社による事業体は発電出力が90万kWと規模が最も大きく、これに日本風力開発と、INFLUXが100%出資する鰺ヶ沢洋上風力発電所がそれぞれ80万kW、JERAと、ヴィーナ・エナジー(シンガポール)、四国電力、東邦ガスの3社、それに東急不動産、CI IV Transfer Coöperatief U.A.(デンマーク)の2社がそれぞれ60万KW、グリーンパワーインベストメントは48万KWと規模が最も小さい。
北側に隣接する青森県日本海北側は、「有望な区域」に整理されているが、法定協議会が一度も開かれておらず、事業化のメドが立っていない。洋上風力第3ラウンドは、事業者公募の締め切りが2024年7月19日。実際に公募に参加する事業者がどれくらいの数になるのかは不透明な状況だが、山形県遊佐町と同様に激しい主導権争いが繰り広げられそうだ。経済産業省は日本風力開発と中部電力の2社について、第3ラウンドの2海域への公募参加を認めない方針を決めている。
DATA
再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業者の公募を開始します
取材・文/高橋健一