洋上風力、有望な区域の選定に向け 国が情報提供の受け付け開始
2024/04/01
経済産業省と国土交通省は、再エネ海域利用法に基づく「有望な海域」への選定を目指す都道府県を対象に、3月1日から情報提供の受け付けを開始した。国は有望な区域と併せて、セントラル方式の調査対象区域を選定する方針だ。
2023年度は
8道県が情報提供
促進区域指定・事業者公募のプロセスの流れ(出典 経済産業省)
再エネ海域利用法では、洋上風力発電の整備を優先的に進める「促進区域」の指定にあたって、既存の文献やデータベースのほか、都道府県などから情報収集を行うこととしている。これらの情報を踏まえ、早期に促進区域に指定できる見込みがあり、より具体的な検討を進めるべき区域を「有望な区域」として整理している。
国は、洋上風力発電の導入可能性エリアの位置情報や漁場利用、船舶航行、海底ケーブルに対して配慮すべき条件などについて、5月10日までに国へ情報提供するよう求めている。すでに「一定の準備段階に進んでいる区域」に整理されている都道府県も、「有望な区域」に選定されるための課題を解決するための施策を加えて、あらためて国へ情報提供する必要がある。「有望な区域」に整理されると、「促進区域」への指定に向けて法定協議会が設置される。
2023年度に国へ情報提供したとみられる自治体/
2023年度に国へ情報提供したとみられるのは、北海道、青森県、岩手県、山形県、富山県、福井県、福岡県、佐賀県の8道6県。このうち、5県5海域はすでに「一定の準備段階に進んでいる区域」に整理されている。
2024年度は
3海域でセントラル調査
セントラル方式における案件形成プロセスとサイト調査の関係(出典 経済産業省)
国は、有望な区域と併せて、セントラル方式の調査対象区域を選定する方針だ。セントラル方式は、今後の案件形成の加速化に向けて、環境影響評価の一部を国が代行して行う制度。独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、対象区域で洋上風力発電の基本設計に必要な風況や海底地盤に関する調査を実施する。
セントラル方式の対象は、「一定の準備段階に進んでいる区域」、もしくはどの区域にも整理されていない区域。調査を希望する都道府県からの情報提供をうけて、国は有識者による第三者委員会の意見を踏まえて、調査対象区域の選定を行う方針。2024年度は、北海道岩宇・南後志地区沖(浮体)、北海道島牧沖(浮体)、山形県酒田市沖の計3海域で調査が実施される予定。
2023年度は10月3日に「促進区域」、「有望な区域」、「セントラル方式の調査対象区域」の選定結果が公表され、今年1月に「促進区域」の事業者の公募が開始された。2024年度もほぼ同じ時期に選定結果が公表される見通しだ。
DATA
取材・文/高橋健一