【洋上風力第3ラウンド】青森県日本海南側の法定協議会、風車設置のレイアウトと漁業影響調査の基本方針を公表
2025/10/28
洋上風力第3ラウンド「青森県日本海南側」の第5回法定協議会が10月28日に開かれ、選定事業者が41基の風車設置のレイアウトと漁業影響調査の基本方針を説明した。
メイン画像:青森県鰺ヶ沢町沖
2030年6月の
運転開始を目指す
青森県日本海南側の事業概要(出典 つがるオフショアエナジー合同会社)
青森県日本海南側は2024年12月に、JERA、グリーンパワーインベストメント、東北電力の3社で構成する「つがるオフショアエナジー合同会社」が事業者に選定された。発電設備は着床式。発電出力は61万5000kW(1万5000kW×41基、Siemens Gamesa Renewable Energy製)。供給価格をゼロプレミアムである3円/kWh。

第5回法定協議会が10月28日、青森県つがる市の生涯学習交流センター松の館で開催された。会議では、選定事業者の「つがるオフショアエナジー共同体」が事業概要と今後の建設スケジュールを説明した。計画では、26年春に陸上工事に着手し、28年春から洋上工事に取りかかり、30年6月の運転開始を目指す。
41基の風車設置の
レイアウトを提示

風車設置のレイアウト(出典 つがるオフショアエナジー合同会社)
会議では、41基の風車設置のレイアウトが示された。風車の設置場所を決めるにあたっては、底建網・刺網・底引き網などの位置や、魚礁・定置網の位置、航路、藻場環境などの漁業利用の状況に配慮した。さらに、航空自衛隊車力分屯基地のレーダーや、気象レーダー、雨雲レーダーにも配慮したとしている。
また、洋上風力発電設備の建設にあたっては、漁業の操業実態をヒアリングし、盛漁期と重なる10月から3月にかけては洋上施工を実施しないこと。また、施工中の騒音を鑑み、モノパイルの打設は日の出から日没のみの時間帯に実施すること。工事中は漁業影響調査として水中音の計測を実施する方針が示された。
3地点で採水し
環境DNA分析を実施
漁業影響調査は、今年度定めた調査計画に基づき、来年度以降調査を実施する予定。会議では、漁業影響調査の基本的な考え方が示された。漁獲統計情報については、今年度から先行的に過去10年分のデータを収集し集計すること。マルチビームソナーによる深浅測量を実施し、施工前年に底質を採取し分析すること。魚類生息調査については、3地点で採水し環境DNA分析を実施することや、付着生物の調査をする際に基礎周辺を撮影し、魚類およびサイズを記録することを明らかにした。
つがるオフショアエナジー合同会社は、一次産業の振興策として、豊富な「農」・「林」・「水産」資源を用いた地域産品の販路拡大に向けた検討・実証販売を開始すること。地域産品の優位性を生かした、一次産業×観光産業を組み合わせた持続可能な振興事業に取り組む考えを示した。
DATA
取材・文/高橋健一
2026年1月16日(金)に開催する「第5回WINDビジネスフォーラム」では、日本風力エネルギー学会 会長で、足利大学総合研究センター特任教授の永尾 徹氏が「日本の風力産業の活性化、国産風車の再興を目指して」をテーマに、風力発電産業の再構築の必要性を訴えます。

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