【洋上風力第2ラウンド】新潟沖は風車機種を変更、秋田県北部沖は陸上工事開始を延期
2026/02/05
新潟県村上市・胎内市沖の第5回法定協議会が1月20日に開かれ、事業会社が風車機種を変更し洋上工事の開始を1年遅れの2028年4月とすることを明らかにした。洋上風力第2ラウンド4海域の最新動向をリポートする。
メイン画像:新潟県胎内市沖
1.第3海域の事業会社が 3次保証金を納付
2.村上市・胎内市沖で第5回協議会 風車機種の変更を公表
3.洋上工事の開始を延期 運転開始時期は不透明
4.モノパイルを国内発注 国内最速の稼働を目指す
5.秋田県八峰町・能代市沖 陸上工事開始を延期
第3海域の事業会社が
3次保証金を納付

洋上風力第2ラウンド「秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖」
昨年8月、三菱商事がコスト上昇を主な理由として洋上風力第1ラウンド3海域から撤退することを表明した。同じくコスト上昇に苦しむ第2ラウンド4海域では、事業者の「撤退ドミノ」が懸念された。そうしたなか、「秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖」、「新潟県村上市・胎内市沖」、「長崎県西海市江島沖」の3海域では、昨年12月までに事業会社が第3次保証金を納付し、事業継続に向けて動き出している。
村上市・胎内市沖で第5回協議会
風車機種の変更を公表

新潟県村上市・胎内市沖の変更内容(出典 村上胎内洋上風力発電株式会社)
新潟県村上市・胎内市沖の第5回法定協議会が1月20日、新潟市で開催された。この海域では三井物産を代表企業に、RWEオフショア・ウインド・ジャパン、大阪ガスの3社が出資する「村上胎内洋上風力発電株式会社」が事業を進めている。当初はGEベルノバ(米国)製の出力1万8000kWの風車38基、総出力68万4000kWとする計画だったが、GEベルノバが洋上風力発電事業から事実上撤退し、超大型風車の開発を中止したため、その対応が迫られていた。
第5回法定協議会で事業会社は風車機種を変更し、1万5000kWの風車を46基設置する方針を明らかにした。総出力は68万4000kWで当初計画の規模を維持した。風車メーカーについては明らかにしていないが、国内のラウンド事業で実績があるベスタス(デンマーク)、シーメンス・ガメサ・リニューアブル・エナジー(スペイン)のいずれかが採用されるとみられる。
洋上工事の開始を延期
運転開始時期は不透明

胎内市で開かれた陸上工事事業参画機会説明会(出典 村上胎内洋上風力発電株式会社)
新潟県村上市・胎内市沖では、陸上工事が昨年10月にスタートしている。同年12月には胎内市で電設・建設関連企業を対象とした陸上工事事業参画機会説明会が開かれ、この春以降に送変電工事が本格化する見通しだ。一方、洋上工事については当初は開始時期を27年4月としていたが、これを1年先送りし、28年4月着工に変更することを明らかにした。
事業会社では、運転開始時期は当初の予定通り29年6月としているが、「風車の仕様およびメーカー変更や長期脱炭素電源オークションの可能性などを含めて全体スケジュールを精査しているところで、変更があり次第報告する」と説明している。洋上工事開始の延期に伴い、運転開始が先送りされる可能性もある。洋上風力ラウンド事業の公募制度見直しをめぐる議論では、風車メーカーの変更などがあった場合は運転開始時期を最大2年間の延長を容認する案が示されている。
漁業影響調査に関しては、これまでに3回にわたる漁業者ヒアリングを実施したことが報告された。これから計画を策定し、27年4月から漁業影響調査を開始する予定だ。
モノパイルを国内発注
国内最速の稼働を目指す

秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖の事業計画(出典 男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energy合同会社 )
同じ洋上風力第2ラウンド「秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖」は、JERAを代表企業に、電源開発、伊藤忠商事、東北電力の4社が、着床式のラウンド事業で最も早い28年6月の運転開始を目指している。ベスタス製の1万5000kWの風車21基、総出力315MWとする計画で、事業の確実な実施に向け、昨年12月12日に第3次保証金を納入したことをいち早く公表した。また同月にベスタス・ジャパンと風力発電設備の運転・保守業務のサポートに関する契約を締結している。
昨年12月末には風車基礎のモノパイルの供給をJFEエンジニアリングに発注するなど、風車の建設に向けての準備が着々と進んでいる。

洋上風力第2ラウンド「長崎県西海市江島沖」
洋上風力第2ラウンド「長崎県西海市江島沖」は住友商事を代表企業に、東京電力リニューアブルパワーとの2社で構成する「みらいえのしまコンソーシアム」が事業を進めている。計画では、モノパイル式基礎を採用して、ベスタス製の1万5000kWの風車28基、総出力420MWで、29年8月の運転開始を目指している。昨年12月に第3次保証金を納付するとともに、環境影響評価準備書の縦覧を終了し、事業継続の意思を示している。
秋田県八峰町・能代市沖
陸上工事開始を延期

秋田県八峰町・能代市沖の事業計画(出典 合同会社八峰能代沖洋上風力)
一方、同じ洋上風力第2ラウンド「秋田県八峰町・能代市沖」は、ENEOSリニューアブル・エナジーを代表企業に、イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン、東北電力の3社が出資する合同会社八峰能代沖洋上風力が事業を進めている。ベスタス製の1万5000kWの風車25基、375MWの計画で、29年6月の運転開始を目指している。これまでに風車基礎工事では清水建設、海底ケーブル工事は住友電工をそれぞれ選定している。
陸上工事は26年1月に開始する予定だったが、資材価格の高騰などを理由に工事開始を延期した。事業会社では、「収益性の見通しが低下したため、コストダウンを検討している。着工時期は未定だが、29年6月に運転を開始する計画に変更はない」と説明している。
秋田県八峰町・能代市沖では、法定協議会が昨年1月以降開かれていない。東北電力の石山一弘社長は「撤退は考えていない」と話す一方で、ENEOSリニューアブル・エナジーは「事業を継続するには適正な収益性の確保が前提になる」としている。今年3月が期限の第3次保証金も納付状況が明らかになっておらず、地元の関係者は祈るような思いで事業の継続に期待をかけている。
DATA
取材・文/宗 敦司







