【洋上風力第4ラウンド】例年より遅い6月5日が期限、国への情報提供の申請受け付け
2026/05/20
経済産業省と国土交通省は、再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電の「有望区域」や「準備区域」の整理、およびセントラル方式の調査区域選定に向けた都道府県からの情報提供の申請を受け付けている。今年度の締め切りは、第1ラウンドの公募占用指針案の策定遅延などの影響を受け、例年よりも遅い6月5日に設定されている。
1.都道府県からの情報に基づき 有望区域と準備区域を整理
2.効率的な案件形成を目指す セントラル方式の調査区域選定
3.公募指針案策定の影響で 今年度は締め切りが遅延
4.第三者委員会の意見を経て 新たな区域整理を順次公表
都道府県からの情報に基づき
有望区域と準備区域を整理

昨年10月に有望区域に整理された秋田市沖
経済産業省と国土交通省は4月7日に、再エネ海域利用法に基づく「有望区域」や「準備区域」の整理、さらには国が調査を主導するセントラル方式の対象区域選定に向け、各都道府県からの情報提供の受け付けを開始した。再エネ海域利用法では、洋上風力発電を優先的に整備する「促進区域」を指定する際、既存の文献調査に加えて都道府県などからの情報収集を行うことと規定されている。国は、これらの情報をもとに、早期に促進区域へ指定できる見込みがあり、具体的な検討を進めるべき海域を「有望区域」として整理する。
有望区域として整理されるためには、促進区域の候補地が存在すること、利害関係者を特定し協議会の設置に同意を得ていること、そして区域指定の基準に適合する見通しがあることの3つの要件を満たす必要がある。有望区域に整理されると、法定協議会が設置され、促進区域指定に向けた本格的な調整段階に入る。一方、これらの要件を完全には満たさないものの、自治体が利害関係者との調整に着手し、将来的な協議会設置を見据えている海域については「準備区域」として整理される。すでに一定の準備段階にあるとされている区域であっても、選定に向けた課題解決の施策を盛り込み、あらためて国へ情報を提供しなければならない。
効率的な案件形成を目指す
セントラル方式の調査区域選定

昨年10月にセントラル方式の調査対象区域に選定された千葉県旭市沖
今回の情報提供の受け付けでは、有望区域などの整理と併せて、セントラル方式によるサイト調査の対象区域も選定される。セントラル方式とは、これまで各事業者が個別に行っていた風況や地質などの調査を、国に代わって独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が一括して実施する制度である。これにより、調査の重複によるコストのムダを排除し、漁業などの地元活動への影響を最小限に抑えつつ、公募の公平性と事業リスクの低減を図ることができる 。
国は次回の公募からこのセントラル方式を基本とする方針を打ち出している 。セントラル方式の対象となるのは、一定の準備段階にある区域や、現時点でどの区分にも整理されていない区域である。選定にあたっては、都道府県が主体的に地元調整に関与することや、自然的・社会的条件から事業者が単独で調査を行うことが困難であることなどが必須事項となる。さらに今年度は、2026年4月の法改正により環境大臣による海洋環境等調査の規定が追加されたことを受け、自治体は沿岸部の環境保全に関する情報も提供する必要がある。
公募指針案策定の影響で
今年度は締め切りが遅延
今年度の情報提供の締め切りが6月5日と例年よりもひと月近く遅い時期に設定された背景には、洋上風力第1ラウンド3海域の再公募に向けた公募占用指針案の策定が大幅に遅れている状況がある。本来、円滑な公募実施のために早期の策定が求められていたが、中東情勢の緊迫化に伴う原材料価格の変動や供給網の混乱により、適切な調達価格を算定する作業が極めて困難となっている。
調達価格等算定委員会において、上限価格案の決定が持ち越されていることに加え、その価格自体を非公表とする方針も示された。上限価格が確定しなければ公募占用指針案を策定できず、その後のパブリックコメント実施などの法定手続きも開始できない。こうした制度運用の調整に時間を要したことが、自治体からの情報受け付けスケジュールにも波及した形だ。
第三者委員会の意見を経て
新たな区域整理を順次公表
国は6月5日までに集まった情報に基づき、関係省庁による協議を進める。その後、専門的な知見を持つ有識者で構成される第三者委員会の意見を聞き、最終的に有望区域や準備区域の整理、およびセントラル方式の調査区域の選定を行う 。
昨年度は、国への情報提供を受けて、秋田市沖と福岡県北九州市響灘沖の2海域が新たに有望区域に整理された。公募制度の見直しにより、事業実現性評価においてサプライチェーン構築や事業完遂能力がより厳格に問われるようになっている。関係自治体には、海域のポテンシャルを示すだけでなく、地域との共生や経済波及効果、さらには施工遅延リスクを回避するための具体的な道筋を国へ示すことが求められている。国と地方自治体、そして事業者が一体となった着実な情報共有と合意形成が、わが国の洋上風力発電普及を左右することになるだろう。
DATA
海洋再エネ整備法に基づく促進区域の指定に向けた「有望区域」及び「準備区域」の整理並びにセントラル方式による調査対象区域の選定に向けた都道府県からの情報提供の受付について
取材・文:ウインドジャーナル編集部








