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経産省、落雷検出装置の総点検を緊急要請「男鹿市の風車で監視体制の空白期間」

経済産業省は、今年4月に秋田県男鹿市で発生したブレード折損事故を受け、全国の風力発電事業者に対し、落雷検出データの管理体制の総点検を求める緊急要請を行った。男鹿市の事例では、運転停止中に落雷検出装置が作動せず、長期間にわたり雷撃被害の有無を把握できていなかったことが明らかになっている。

メイン画像:秋田県男鹿市でブレードが破損した風車

<目次>
1.男鹿市のブレード破損で 落雷監視体制の空白期間
2.風力発電設備における 落雷検出装置の仕組みとは
3.データ欠落の再確認と 内視鏡を用いた点検を要請

 

男鹿市のブレード破損で
落雷監視体制の空白期間

秋田県男鹿市の風車で運転停止中に落雷検出装置が機能していなかったことが判明

経産省大臣官房産業保安・安全グループ電力安全課は5月1日、全国の発電用風力設備設置者に対し、雷撃による事故防止に向けた異例の要請を行った。この要請の背景には、4月12日に秋田県男鹿市で発生した風力発電所におけるブレード折損事故がある。この事故をめぐっては現在も設置者による原因調査が継続されているが、その調査のなかで、風車の運転停止中に落雷検出装置が機能していなかった期間が存在し、その結果として長期間にわたり落雷の有無を把握できていなかったことが明らかになった。

風力発電設備は、その構造的な特性や高所に設置されるという立地条件から、常に雷撃のリスクにさらされている。特に近年、雷撃を受けた直後には致命的な損傷が見られなくても、微細な損傷を抱えたまま運転を継続し、一定期間を経てから累積した疲労や損傷の拡大によってブレードが折損する事故が全国的に散見されている。こうした事態を防ぐためには、落雷が発生した事実をリアルタイムかつ正確に捕捉し、必要に応じて迅速な保守点検につなげる体制が不可欠である。しかし、今回の男鹿市の事例は、本来稼働しているべき安全装置が特定の条件下で機能停止していたことを示しており、既存の管理体制に警鐘を鳴らす形となった。

 

 

風力発電設備における
落雷検出装置の仕組みとは

秋田県男鹿市でブレードが破損した風車

風力発電設備における落雷検出装置は、一般的にブレードやナセルに流れる雷電流を磁気カードや電流センサーによって検知する仕組みを採用している。具体的には、落雷時に発生する強力な磁場を記録する磁気テープ方式や、ダウンコンダクタ(引き下げ導線)に流れる電流をロゴスキーコイルなどで測定し、そのピーク値や電荷量、波形エネルギーをデータ化する方式が主流である。これらの装置により、いつ、どの程度の規模の雷撃を受けたかをデジタルデータとして記録・保存することが可能となる。

しかし、これらの装置が風力発電設備に当初から標準装備されているかどうかは、設備のモデルや導入時期、あるいは設置地域の雷リスク評価によって異なるのが実情である。古い設備や落雷リスクが低いと判断された地域では、簡易的な磁気カードのみの設置に留まっていたり、高度なオンライン監視システムが後付けのオプション扱いになっていたりするケースも少なくない。

また、たとえ最新の装置が装着されていても、装置の電源供給系統が風車の主電源と連動している場合、メンテナンスや故障による「運転停止中」に検出装置への給電が途絶え、記録が欠落する可能性もある。

データ欠落の再確認と
内視鏡を用いた点検を要請

経産省による緊急要請は、こうしたシステム上の不備や運用のすき間を埋めることを目的としている。要請の第一段階として、経産省は各事業者に対し、自らが管理する落雷検出装置において、過去にデータが取得できていない空白期間がなかったのかを精査するよう求めている。もし装置の不具合や電源喪失、あるいは男鹿市の事例のように運転停止に伴う機能停止によってデータが欠落している期間が判明した場合には、速やかに「ほかの手段」を用いてその期間の雷撃の有無を確認することを要請している。ここでの「ほかの手段」とは、民間の気象情報会社が提供する落雷位置情報システム(LLS)の過去ログとの照合などが想定される。

さらに、外部データとの照合によって落雷の可能性が否定できない期間があり、かつその後の目視点検などで落雷痕の有無が十分に確認できていない場合において経産省は、ドローンなどによる外部からの観察だけでなく、内視鏡などを用いたブレード内部の精緻な点検を速やかに行うよう強く促している。ブレード内部の損傷、特にサンドイッチ構造の剥離や樹脂の炭化は外観点検だけでは見落とされる可能性があり、内視鏡による内部からのアプローチによって精緻な点検を要請している。

今後、日本の再生可能エネルギーを牽引する風力発電事業において、落雷対策は単なる保守管理の一環ではなく、事業継続の根幹に関わる課題となる。風力発電事業者は、今回の要請を一時的な対応として捉えるのではなく、自社の設備における落雷検出装置の仕様と電源系統を再確認し、いかなる状況下でも雷撃データを欠落させない堅牢な監視体制を構築することが求められる。

DATA

経済産業省 雷撃による発電用風力設備の事故の防止のための要請について


取材・文:ウインドジャーナル編集部

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