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【神鋼鋼線工業】浮体係留索のオールラウンダー 国内初のNK製造法・型式承認を取得

神鋼鋼線工業は、浮体式係留索として高耐食型セミパラレルワイヤケーブルの国内初の製造法・型式承認を日本海事協会から取得した。20年以上の耐久性を保証し、あらゆる係留方式に対応する汎用性が、日本の洋上風力発電の社会実装を支える。

メイン画像:神鋼鋼線工業の高耐食型セミパラレルワイヤケーブルSPWC®

<目次>
1.製造法・型式承認の取得で 事業全体の迅速化に寄与
2.第3の選択肢が解決する 設計課題と汎用性の高さ
3.製品を国内で安定供給 エネルギー安全保障に貢献

製造法・型式承認の取得で
事業全体の迅速化に寄与


製造法・型式承認の手交式(2026年3月)

今回の製造法・型式承認は、神鋼鋼線工業が昨年2月に先行して取得していた設計承認に基づき、実際の製造プロセスや品質管理体制が日本海事協会(NK)の厳格な品質レベルに適合していることを公的に証明するものである。承認取得の意義は、単に技術力の高さを示すだけにとどまらない。同社代表取締役専務執行役員の森啓之氏は、「保証荷重などの製品仕様が設置サイトの環境条件に適合していれば、導入時の説明や確認の負担を抑えることが可能になり、事業全体の迅速化に寄与します」と説明する。

神鋼鋼線工業は橋梁用ケーブルなどの土木分野で50年近い実績を有しており、その知見を海洋エネルギー分野へ転換したことで、設計から製造、品質管理までを一貫して国内で完結できる体制を整えた。洋上風力発電の社会実装を加速させるうえで、信頼性の高い係留部材が国内で安定的に供給可能になったことは、発電事業者や施工業者にとって非常に大きな意味を持つ。

 


 

第3の選択肢が解決する
設計課題と汎用性の高さ


高耐食型セミパラレルワイヤケーブルSPWC®を用いた係留イメージ

浮体係留索には、これまで鋼製チェーンや合成繊維ロープが主に用いられてきたが、同社の高耐食型セミパラレルワイヤケーブルSPWC®はそれらに続く「第3の選択肢」として、これまでにない物性バランスを提供している。SPWCは平行な亜鉛めっき鋼線を束ねてポリエチレンで被覆した構造を持ち、鋼製チェーンと比較して軽量でありながら、繊維ロープよりも伸び(クリープ)が非常に少ないという特性がある。

この低クリープ性は、浮体の位置保持精度を高めるうえで極めて有利に働く。さらに、鋼線束の外周に亜鉛線を装備することで、海水浸入時でも電気防食作用により腐食を防ぐ「高耐食型」の仕組みを構築しており、海中での20年以上のメンテナンスフリー運用を視野に入れている 。

汎用性の高さもSPWCの大きな特徴である。特定の係留方式に限定されず、カテナリー、一点係留、さらにはTLP(緊張係留)など、あらゆる形式に適用可能な物性を有している。浮漁礁やGPS波浪計の一本係留ケーブルとして10年以上の供用実績があり、水深1000mクラスの過酷環境においても異常が認められないほどの耐久性が確認されている。浅い水深では伸びが必要とされる場面もあるが、同社は設置条件に応じて他素材とのハイブリッド構成も視野に入れており、多様な海域条件下で最適な係留システムを構築できる柔軟性を備えている。これにより、設置サイトごとの複雑な設計課題に対して、確実な解決手段を提示することが可能となっている。

製品を国内で安定供給
エネルギー安全保障に貢献

洋上風力発電が日本の基幹電源となるためには、国内でのサプライチェーン構築と、信頼性の高い製品の安定供給が不可欠である。神鋼鋼線工業は、兵庫県尼崎市の拠点を中心に開発・製造を行っており、トレーサビリティの確保された国産製品を市場に提供している。海外製品に頼ることなく、日本海域特有の厳しい気象・海象条件を熟知した国内メーカーが係留索を供給することは、エネルギー安全保障の観点からも大きな強みとなる。

今後、国が主導する浮体式実証事業や再エネプロジェクトの本格化を見据え、同社は将来的な需要拡大に合わせた生産設備の拡充や量産体制の整備を着実に進める考えだ。カーボンニュートラルへの挑戦を掲げる同社にとって、高耐食型SPWCは持続可能な社会を実現するためのインフラ部材として、なくてはならない価値を提供し続ける基盤となるだろう。

 


 

PROFILE

神鋼鋼線工業株式会社
代表取締役専務執行役員
森 啓之氏

DATA

神鋼鋼線工業株式会社
〒660-0091
兵庫県尼崎市中浜町10番地1
TEL(06)6411-1051(代)
FAX(06)6411-1056

 


 


取材・文:ウインドジャーナル編集部
写真提供:神鋼鋼線工業株式会社

WIND JOURNAL vol.11(2026年秋号)より転載

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