注目キーワード

English 日本語

業界トピック

発電コスト10円/kWhを目指して「次世代浮体式洋上風力発電システム」を開発

洋上風力発電の低コスト化・効率化を目的とした技術開発を中心に、技術開発や海外メーカーと提携し、国内へ設備導入を行うグローカル。現在、研究開発を進める「次世代浮体式洋上風力発電システム」について、福田副社長へ話を聞いた。

洋上風力の潜在力を生かす
徹底した競争力の追求

―風力発電の取り組みは。
現在、NEDOの実証研究を通じ、6MWの「次世代浮体式洋上風力発電システム(OPTIFLOW)」の開発を進めており、2022年から着工、2024年に実海域における実証運転を開始する予定です。

―特徴は。
OPTIFLOWの特徴は、風力発電システム全体のコンパクト化や軽量化に加え、低リスクと低コストを実現できることです。

現在、プロジェクトを進めている6MWの風車は、ローターのサイズが約140mと巨大になります。そこで、軽量化した翼型傾斜タワーをガイワイヤの張力で強度を保ち、ナセルからヨー制御機能を外した2枚翼ダウンウィンド風車を搭載することで、システム全体のコンパクト化・軽量化を実現しています。

OPTIFLOWの概略

また、ナセルから外されたヨー制御機能に替わり、オイル&ガス産業で広く使われてきたタレットによる一点係留システムを用いることで、風見鶏のように浮体そのものを受動的に風向に追従させます。

加えて、弊社は、国内の洋上風力発電を拡大する際、障壁の一つに海上工事があると考えています。日本はまだ技術・ノウハウが確立しておらず、SEP船の不足や傭船料が高いことなどから、海上で工事をするほどコスト高となり、工期の遅延リスクも出てきます。

OPTIFLOW概略:浮体の移動範囲

一方、OPTIFLOWは、陸上で組み立てを行います。海上では、事前にチェーンとアンカーを敷設し、組み立てた風車を海上に移送するだけで、繋ぎこむことができます。撤去の際も、チェーンとアンカーを外し、陸上まで移送することで、陸上でスクラップが可能です。
NEDOと進めるプロジェクトでは、コンパクト化・軽量化に加えて、極力陸上で工事を行い、海上では工事をしないことに取り組んでいます。

―今後の方針は。
今後、20MW級の風車に挑戦していきたいと考えています。この大きさの風車を安定的に運用し、2030年の発電コスト15円/kWh、将来的には10円/kWhまで引き下げ、競争力の高い発電システムにしていきたいと考えています。

話を聞いた人

株式会社グローカル
取締役副社長兼COO
福田知史氏

1986年 丸紅株式会社入社
1992年 丸紅米国会社ワシントン出張所(ワシントンDC駐在5年2か月)
1997年 丸紅株式会社 電力本部
2008年 丸紅カリビアンパワー社・社長(ジャマイカ駐在3年半)
2011年 丸紅 国内電力プロジェクト部 副部長
     福島復興浮体式洋上風力プロジェクト・コンソーシアムリーダー
2013年 丸紅 国内電力プロジェクト部 部長 兼 丸紅新電力社長
2016年 NEDO次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(バージ型)
インテグレーター
2016年 丸紅インドネシア会社社長(ジャカルタ駐在2年)
    ジャカルタ・ジャパン・クラブ理事長
2019年 丸紅退社、(株)シン・エナジー 取締役就任
2020年 シン・エナジー退社、
(株)グローカル 取締役副社長兼COO就任 現在に至る

広告お問い合わせ

アクセスランキング

  1. 【洋上風力第4ラウンド】東京都伊豆諸島沖の5海域を準備区域に、大規模浮体式の導入を目指す
  2. 北海道の環境配慮基準、5月10日で経過措置が終了「再エネ促進区域から保安林を除外」
  3. 全漁連が国に要望書を提出「EEZ内への洋上風車設置で漁業とのすみ分けを」
  4. 【洋上風力第4ラウンド】北海道松前沖と檜山沖、促進区域の指定案を公告 早ければ8月にも2海域を指定へ
  5. 【特集】洋上風力「第4ラウンド」の動向まとめ 異例の展開のラウンド事業の行方は?
  6. 経産省がシーメンスガメサと覚書を締結 風力発電のサプライチェーン構築へ
  7. 秋田市のブレード落下事故、補強板の破損や焦げ跡を確認 破壊との関連を調査
  8. 【洋上風力第4ラウンド】第1ラウンド事業へのFIP適用に厳しい意見が相次ぐ 事業者ヒアリングを実施
  9. 「WFOアジア洋上風力サミット2025」、7月2日、3日に東京で開催 ~ 着床式・浮体式洋上風力の商業規模の導入拡大に向けた議論 ~
  10. 北九州響灘洋上ウインドファームの建設工事が大詰め、この春にも風車の据え付けを開始へ

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.08 | ¥0
2025/2/19発行

お詫びと訂正