注目キーワード

English 日本語

業界トピック

脱炭素化の鍵は浮体式洋上風力? 日揮や戸田建設など6社が、懇談会を発足

日揮や戸田建設など6社が、日本で浮体式洋上風力市場の発展を促そうと「浮体式洋上風力発電推進懇談会」を立ち上げた。同懇談会によると、浮体式は日本の脱炭素化を実現する「鍵」だという。その理由を、同懇談会の提言を元に解説する。

浮体式を推進する懇談会が発足
市場発展に向けた提言も

洋上風力発電には、大きく分けて、海底に固定した基礎に風車を設置する「着床式」と、海上に浮かぶ浮体構造物に風車を設置する「浮体式」の2種類がある。この浮体式を日本でも推進しようと、日揮、戸田建設(※)、住友商事グローバルメタルズ、シェルジャパン、エクイノール(ノルウェー)、OW Ocean Winds(スペイン)の6社が2021年9月、「浮体式洋上風力発電推進懇談会」を発足した。

実用化が進んでいるのは着床式だが、同懇談会は「(着床式とともに)浮体式も並行して開発を進めることで、2050年カーボンニュートラルの早期達成に大きく貢献することができる」と訴える。

浮体式の技術は、主に欧州の洋上石油・ガス産業を基盤として確立されている。日本で浮体式産業を形成することは、国内の建築業や造船業、鋼鉄業などの発展、さらに地域の雇用創出につながり、グリーン成長を実現するものだという。

同懇談会では、以下の3つの提言を発表している。

浮体式市場の発展に向けた提言

1.浮体式の2030年2~3GWおよび中長期導入の設定
2.大規模かつ国内産業発展を実現する戦略的な開発計画の推進
3.魅力的な浮体式の事業環境整備に向けた議論の加速化‬

なぜ日本には浮体式が必要なのか?
日本海域の可能性を考える

一般的に、着床式の適地は水深60m未満の海域、つまり比較的岸に近い海域とされている。一方、水深60mを超える場合は、浮体式にコスト優位性があるとされている。

日本風力発電協会の推計をみると、日本の周辺海域は急峻な海底地形であるため、浮体式のポテンシャルが大きいという。加えて、浮体式を設置できる沖合は風が強いため、発電の面からみても浮体式に利点があることがわかる。

また、環境省が実施した調査によると、EEZ(排他的経済水域)を含む水深200m未満の海域におけるポテンシャルは、離岸距離30km以内に限定された場合のポテンシャルの3倍に拡大すると試算されている。

日本という地の利を活かせる発電、その一つが浮体式なのかもしれない。今後の動きに注目だ。

※戸田建設は、2016年に国内で初めて浮体式洋上風力発電を実用化し、2MW級の商用運転を続けている。

DATA

浮体式洋上風力発電推進懇談会「日本の浮体式洋上風力発電に対する期待と展望」

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正

広告お問い合わせ

アクセスランキング

  1. 【洋上風力第1ラウンド】「秋田県能代市・三種町・男鹿市沖」、「由利本荘市沖」法定協議会 地元港湾の積極的な活用を要望
  2. 【洋上風力】千葉県九十九里沖、12月15日に第1回法定協議会 事業化に向けて動き出す
  3. 【参加受付中!】第5回WINDビジネスフォーラム 「風力発電の安全対策とサプライチェーン構築」
  4. 長崎県五島市沖の浮体式洋上風車 来年1月稼働へ建設大詰め、大型量産化に対応した技術開発も
  5. 【洋上風力の事業環境整備】事業実現性の適切な評価とサプライチェーン形成の定義の明確化を要望
  6. 【洋上風力第1ラウンド】年明け以降に再公募を実施へ 応札価格に下限と上限を設定
  7. 【洋上風力第1ラウンド】3海域の再公募手続きが動き出す、情報提供の申請受け付け開始
  8. 【洋上風力第2ラウンド】秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖 3年後の運転開始に向け陸上工事が本格化
  9. 【特集】洋上風力「第4ラウンド」の動向まとめ 異例の展開のラウンド事業の行方は?
  10. 【洋上風力】事業環境整備の見直し案を公表 第2・第3ラウンド事業者に長期脱炭素電源オークションへの参加容認

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正