北九州・響灘でSEP船が本格稼働! 洋上風車の基礎工事、着々と
2023/12/07
北九州市沖合の響灘で2025年度の運転開始を目指す、北九州響灘洋上ウインドファーム。10月末に入港したSEP船が本格稼働を始めた。洋上で風車の基礎工事に着手したSEP船の様子を、現地からリポートする。
(響灘で工事に着手したSEP型多目的起重機船「CP-16001」。筆者撮影)
1600t吊クレーン搭載のSEP船
北九州・響灘で工事に着手
(北九州響灘洋上ウインドファームの工事のために入港したSEP船。筆者撮影)
北九州都市高速の黒崎インターを降りて、若松方向に車で25分。夏には海水浴客で賑わう脇田海岸からはるか沖合を望むと、島のように巨大な船が目に飛び込んでくる。赤と白のクレーンが特徴的な船は、北九州響灘洋上ウインドファームの工事のために入港した、SEP(Self-Elevating Platform、自己昇降式作業台)船だ。
この船は、SEP型多目的起重機船「CP-16001」。全長123m、幅45m、最大搭載人員100人で、搭載された1600t吊クレーンは、船体から大きく飛び出すほど長い。4本の脚(レグ)を海底に固定して、海面から船体を数メートルほどジャッキアップしている。1600t吊の全旋回式クレーンは、10~12MWクラスの風車の設置、モノパイルやジャケットなど基礎の施工ができるという。
(脚(レグ)を海底に固定して船体への波浪の影響を防ぎ、精度の高い工事を実現する。筆者撮影)
響灘の沖合は、折からの強風で白波が立ち、脇田海岸の海釣り桟橋には、押し寄せる波しぶきで水たまりができている。海岸沿いの遊歩道もまっすぐ歩けないほどの風が吹き付けているが、SEP船は波浪の影響を受けることなく、どっしりと構えている。もはや、船というより大きな建物のようだ。
日本船籍の大型SEP船
洋上プロジェクトでの活躍に期待
SEP型多目的起重機船「CP-16001」は、北九州響灘洋上ウインドファームの風車の基礎工事の一部、風車据付工事のため、今年10月末に北九州港(響灘)に入港。11月から基礎工事に着手した。
同船は、五洋建設、鹿島建設、寄神建設が共同出資するPYKマリンが保有・運航する日本船籍の大型SEP船だ。五洋建設にとっては、800t吊クレーンを搭載したSEP船「CP-8001」に続く2隻目となる。今後、本格化が期待される一般海域における洋上風力発電プロジェクトでの活躍が期待される。
北九州響灘洋上ウインドファームは、ベスタス製9,600kWの風車25基による最大出力22万kW。設置・運営事業者は、九電みらいエナジーや電源開発などが出資するひびきウインドエナジーだ。港湾法の改正施行による第一号案件とされる。今年3月に着工し、4月には、建設予定地近くの北九州市若松区で起工式が執り行われた。2025年度内の運転開始を目指している。(参考:『出力22万kW 北九州響灘洋上ウインドファームが着工』WIND JOURNAL)
DATA
取材・文:山下幸恵(office SOTO)