秋田市南部沖、2033年度までの着工目指す 浮体式導入も検討
2024/02/19
秋田市は2月13日、同市の南側の沖合で2033年度までに洋上風力発電設備の着工を目指す方針を正式に明らかにした。想定する出力は45万5000kW。さらなる沖合への浮体式についても検討する方針だ。
経済効果は
329億2600万円
秋田市の新エネルギービジョン原案(出典 秋田市)
秋田市が事業化を検討しているのは、秋田港よりも南側の海域。昨年11月に開催された秋田市再生可能エネルギー推進検討委員会で、市側は、本市沖は洋上風力発電の高い導入ポテンシャルを有していることから、再エネ海域利用法に基づく一般海域の早期の促進区域指定を目指すとともに、洋上風力発電事業者が実施する地域貢献策として、本市の経済活性化や地元での洋上風力サプライチェーンの構築を働きかけていく考えを示していた。
秋田市は2月13日、市の沖合で洋上風力発電を整備することを柱とする「新エネルギービジョン」の原案を公表した。学識経験者などで構成する「市再生可能エネルギー推進検討委員会」に示した。原案では、秋田市南部沖の想定する出力は45万5000kWで、2033年度までの着工を目標に掲げている。今後は、再エネ海域利用法に基づく「促進区域」の指定を目指して地元調整を図る。市では、洋上風力導入時の経済効果を329億2600万円。建設や運転・保守、撤去工事で1655人の雇用が生まれると算出している。
さらなる沖合への
浮体式導入も検討
第4回秋田市再生可能エネルギー推進検討委員会(出典 秋田市)
秋田県では、浮体式を含めた、水深 30m以深の海域における洋上風力発電の導入可能性の検討を進めている。秋田市も、県と連携しながら、さらなる沖合への洋上風力発電の導入可能性の検討を行う。また、ジャケット式・浮体式の導入を見据えた、秋田港の機能強化を促進するほか、必要となる資材・部品・治具などの供給体制の整備に向けた技術動向を調査する。
さらに秋田市では、洋上風力のサプライチェーンに市内事業者が参入できるよう、人材育成・確保に向けた支援や部品・治具製造のための設備投資などを支援するとともに、市外事業者と市内事業者との共同による事業化を推進するほか、関連企業の誘致に取り組むとしている。
12人、56件の
パブリックコメント
昨年12月から実施したパブリックコメントでは、12人から計56件の意見が寄せられた。具体的には、「秋田市沖の法定協議会への参加等について、このビジョンの主体の1つである市民に説明し、理解と同意を求めるべきである」、「風車などの建設により、鳥類をはじめとする生態系への影響や自然破壊が危惧される」、「洋上風力発電の風車による、騒音や低周波などの健康被害が懸念される」といった意見が寄せられた。
秋田県沖では、現在、秋田市の北側の「男鹿市、潟上市、秋田市沖」で、発電事業者の選定が行われている。また、秋田市の南側に隣接する「由利本荘市沖」では、三菱商事を中心とする企業連合が2030年12月の運転開始を目指して事業を進めている。これに先立って、今年1月には秋田市の秋田港湾区域で、丸紅など13社で構成する特別目的会社「秋田洋上風力発電」が国内初の大規模商業運転を開始している。
DATA
取材・文/高橋健一