福井県あわら市沖の経済効果は1674億円、雇用創出効果は9330人と試算
2026/05/27
福井県は、あわら市沖の洋上風力発電計画による経済波及効果の試算を公表した。経済波及効果は最大約1674億円、雇用創出効果は30年間の通算で9330人と試算している。
経済波及効果は最大1674億円
サプライチェーン参画が課題
福井県あわら市沖は、2021年9月に洋上風力発電の事業化に向けたプロセスの1段階のうち1段階目である「準備区域」に整理されている。しかし、準備区域に整理されてから、5年近くにわたって足踏みをしているのが現状だ。
福井県が実施した調査は、あわら市沖洋上風力発電事業への関係者のさらなる理解促進を図るため、洋上風力発電事業の誘致に伴う地域への経済波及効果を具体的に把握するための基礎資料を得ることを目的としている。24年9月から25年2月までのあいだに、地元企業214社を対象としたアンケート調査(有効回答61社)、そして発電事業者など13者へのヒアリングを実施している。
今回の調査では、①洋上風力事業の受注能力、参入以降、参入課題、②事業費3シナリオ(コスト変動による低位・中位・高位)×地元受注率2シナリオ(参入の程度による低位・高位)、計6パターンの経済波及効果ついて試算した。
試算の前提条件として、出力規模は現在想定されている35万kW、事業期間は30年間に設定した。対象は調査・開発から撤去までの事業ライフサイクル全体における地元受注およびその波及効果をパターン別に試算した。

パターン別経済波及効果試算結果(出典 福井県エネルギー課)
調査の結果、あわら市沖洋上風力発電の総事業費はコスト上昇シナリオで最大約4830億円。コストが上昇し、地元受注が拡大した最大パターンでの経済波及効果は最大約1674億円となった。
雇用創出効果は30年間の通算で9330人(年間約310人)と試算した。このうち福井県内への経済波及効果は約1,230億円、雇用創出効果は通算で約6,880人(年間約230人)となる。地元受注率が拡大した場合の受注比率は、陸上送変電工事やケーブル敷設など分野で45.1%、運転維持で36.9%、撤去で28%となった。しかし、風車本体や周辺設備の製造における地元受注率は2%未満と低く、サプライチェーンへの参画が課題としている。
施工と運転維持で
地元受注が大きく拡大

事業費の推計(出典 福井県エネルギー課)
調査結果を細かく見てみると、事業費については今後コストの変化がない場合には3455億円と試算している。コストが低減した場合には2212億円に低下する。コストが上昇した場合は上記のとおり4836億円とした。
項目別では、調査開発費はコスト上昇パターンでも変化なしのパターンとほぼ変わらないが、風車本体および周辺設備の価格が特に大きく跳ね上がっている。なかでも周辺設備は2倍近い増加率となった。陸上送変電工事やケーブル敷設の費用も26%程度増加する見通しだ。

経済波及効果の推計(出典 福井県エネルギー課)
経済波及効果は、地元受注比率が現状のままと拡大するケースの2つのパターンで試算している。このうち、「調査開発」は現状の6.1%から最大14.3%まで増える可能性があるとしている。しかし、調査開発に必要な費用がそれほど大きくないため、効果そのものも小さくなっている。一方、「風車本体」は地元受注比率が拡大しても0.4%にとどまるとみており、これも経済波及効果は小さい。「周辺設備」についても地元受注比率は1.8%にとどまる見通しだ。
逆に地元受注比率が最も大きく伸びる可能性があるのが陸上送変電工事やケーブル敷設などの「施工分野」だ、現状の14.9%から最大45.1%に増える可能性があるとしており、それによって経済波及効果も139億円から420億円へと拡大する。
経済波及効果が最も大きいのが「運転維持費」である。地元受注比率は現状の1.1%から最大36.9%に増え、経済波及効果は現状の28億円から902億円に拡大する可能性がある。安全点検や保守などの作業を20年間地元が受注するものとして試算しており、この長期間の継続的な受注の効果が最も大きいと試算している。
3つの事業体が
環境アセス手続き
福井県は、再エネ海域利用法に基づく「有望区域」への早期の格上げを目指している。あわら市沖では、これまでに中部電力、北陸電力などの企業連合、電源開発(J-POWER)、福井芦原洋上風力合同会社の3つの事業体が計画を公表して、環境影響評価手続きを進めている。
DATA
取材・文/宗 敦司










