三重県、洋上風力の経済波及効果を調査へ 沿岸自治体と実現可能性を検討
2024/06/20
三重県は、洋上風力発電設備を設置した際の経済波及効果などを調査する事業を実施するため、今年度当初予算に700万円を盛り込んだ。調査した情報を市や町と共有して、実現可能性を検討していく方針だ。
4市町と
合同勉強会を設置
三重県と伊勢市、鳥羽市、志摩市、南伊勢町の4市町が合同勉強会
三重県は、「ゼロエミッションみえ」プロジェクト推進方針に基づき、洋上風力発電に関心がある地域に対して、必要な情報の収集・提供などを進めてきた。この一環として、今年2月に伊勢市、鳥羽市、志摩市、南伊勢町の4市町と洋上風力発電に関する合同勉強会を立ち上げた。合同勉強会では、地域との共生、環境への影響、経済波及効果などについて検討を進めることにしている。
「ゼロエミッションみえ」プロジェクト推進方針は2023年3月に策定された。おおむね10年先を見据えた三重県の長期構想「強じんな美し国ビジョンみえ」が掲げる基本理念の実現に向けた成長戦略である「みえ元気プラン」において、5年間で取り組みを一層加速させていかなければならない課題として、積極果敢に対応していく「みえ元気プランで進める7つの挑戦」の1つと位置づけられている。
洋上風力発電を
長期構想の検討課題に
「ゼロエミッションみえ」プロジェクト推進方針のなかで、洋上風力発電については、情報収集を進めるとともに、雇用の創出など地域における具体的なメリットやデメリットについて調査研究を進め、関心のある地域に情報提供や助言などの支援を行う。地域において、洋上風力発電設備の導入促進に向けた機運が醸成され、合意形
成が図られる見込みとなった場合、再エネ海域利用法に基づき、県の役割である
国への情報提供を行うとともに、必要な情報の収集に向けて、市町と役割を分担した上で関係機関との調整などを行うとしている。
さらに、洋上風力発電による関連産業や雇用の創出などの地域経済への影響や、メンテナンス人材の育成、余剰電力を利用した水素製造施設の設置、太平洋に敷設された海底光ケーブルの揚陸地点の周辺地域へのカーボンゼロのデータセンターの誘致など、地域の特性をふまえた地域経済の活性化モデル等の検討を市町や事業者等と連携して行う。県内の港湾について、洋上風力発電設備の設置及び維持管理の際に必要な人員及び物資の保管・輸送などに利用されるふ頭を有する基地港湾に係るポテンシャ
ルの検討を進めるとしている。
今年度当初予算に
700万円の調査費計上
三重県は、2024年度当初予算に「洋上風力発電に係る新たな産業創出の可能性調査・検討事業」として700万円を盛り込んでいる。洋上風力発電について、県内の地域特性の把握や評価を行いつつ、産業の生産額や雇用の創出といった経済波及効果などについて調査し、関係団体と情報共有を図るとしている。
三重県の一見勝之知事は、昨年12月の記者会見で「洋上風力発電に前向きというわけではなくて、発電事業者からアプローチがあったとき、適切に対応する、関係者の方々との話し合いの場を例えば設定する、そうしたことが重要になってくると思っています。今後を踏まえ、4市町の方々と勉強をするわけですが、発電事業者の方々が結構コンタクトして来られますので、ある程度の熟度が出てきたら、関係者の方も入れた勉強会あるいは検討会みたいなものに発展していくというふうに考えています」と話している。
DATA
取材・文/高橋健一