洋上風力第1ラウンドの秋田県沖2海域、建設前後の6年間 漁業影響を継続調査
2024/04/08
洋上風力第1ラウンドの秋田県沖2海域の法定協議会が3月18日に開かれ、漁業への影響について、設備着工前と建設中、稼働後の計6年間にわたって継続調査する方針を発電事業者が明らかにした。
秋田県沖2海域
2026年に着工
秋田県能代市・三種町・男鹿市沖の事業概要(出典 三菱商事系企業連合)
第1ラウンドの秋田、千葉の計3海域は、三菱商事を中心とする企業連合が発電事業者に選定されている。計画によると、秋田県沖の2海域では2026年に着工し、「能代市、三種町、男鹿市沖」は2028年12月に運転開始、「由利本荘市沖」は2030年12月に運転開始する予定。
秋田県由利本荘市沖の事業概要(出典 三菱商事系企業連合)
第1ラウンドの3海域では、GE製の超大型風車「Haliade-X」が採用される。「Haliade-X」は発電出力が1万3000kW。高さが最大で248メートル、ローター径は220メートルに達する。「能代市・三種町・男鹿市沖」には、38基(合計出力49万4000kW)の風力発電設備を建設する計画。由利本荘市沖には65基(同84万5000kW)を建設する計画だ。
漁業への影響を
建設前後の6年間調査
3月18日の法定協議会では、2海域ともに発電事業者が設備着工前と建設中、稼働後の計6年間にわたって、継続して漁業への影響を調査する方針を明らかにした。漁業への影響調査は、事業区域内と区域外で特定魚種の漁獲量や産卵、稚魚の状況などを継続的に調べる。水質や風車基礎の周辺の海底地形の変化も調査する。調査結果は年に1度、ホームページで公開したうえで、地元との意見交換も行う。
発電事業者が拠出する基金については、各海域の自治体と漁業者団体が協議し、配分する割合を決めることが了承された。基金は発電事業者が、20年間の売電収入額のうち0.5%を目安に拠出する予定。
秋田県漁業協同組合の加賀谷弘組合長は、「継続的な調査によるデータの積み重ねが重要で、漁業者が納得できる形で進めてほしい」と話した。次回の法定協議会は、発電事業者が年内に漁業影響調査の手法をとりまとめたあとに開催する予定。
DATA
取材・文/高橋健一