洋上風力第2ラウンド「秋田県八峰町、能代市沖」建設期間に秋田港と室蘭港を活用、清水建設が施工
2024/04/09
洋上風力第2ラウンドの「秋田県八峰町、能代市沖」の事業で、建設期間の拠点港として、秋田港と室蘭港(北海道)を利用する計画であることがわかった。室蘭港を母港とするSEP船を保有する清水建設が洋上工事を担当する。
(アイキャッチ画像 室蘭港に初入港した大型SEP船 出典:国土交通省室蘭開発建設部 2023年6月)
ERE主体の
企業連合が選定事業者に
事業計画の概要(出典 合同会社八峰能代沖洋上風力)
経済産業省と国土交通省は3月22日、洋上風力第2ラウンドの「秋田県八峰町、能代市沖」について、「合同会社八峰能代沖洋上風力」を発電事業者に選定したと発表した。合同会社八峰能代沖洋上風力は、ENEOSリニューアブル・エナジー(ERE)、イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン、東北電力の3社で構成する特別目的会社。代表企業のEREは、ENEOSグループの再エネ事業会社。イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパンは、スペインに本社があるイベルドローラの日本法人。
設備概要(出典 合同会社八峰能代沖洋上風力)
「秋田県八峰町、能代市沖」は、青森県と接する八峰町南部から能代市北部にかけての海域。公募占用指針によると、促進区域の面積は3239.4ヘクタール。事業計画によると、発電設備はモノバイル基礎の着床式。発電設備出力は37万5000kW (1万5000kW×25基、Vestas製)。出力変動対策として蓄電池などを活用するとしている。供給価格は、ゼロプレミアムの3円/kWh。
洋上工事は
清水建設が担当
建設期間の業務実施体制(出典 合同会社八峰能代沖洋上風力)
洋上風車の製造・納入は、デンマークの大手風車メーカー、Vestasが担う。Vestasの風車は、第2ラウンドの「秋田県男鹿市、潟上市、秋田市沖」、「長崎県西海市江島沖」でも採用された。「新潟県村上市、胎内市」ではGEの風車を採用している。
洋上風車の設置工事は、国内最大のSEP船を保有する清水建設が担当する。清水建設が一般海域のラウンド事業で施工を担当するのは初めて。海底ケーブルの敷設工事は、住友電気工業が実施する。
運転管理は
O&M新会社が担当
運転期間の業務実施体制(出典 合同会社八峰能代沖洋上風力)
風車メンテナンスは、Vestasが担当する。運転管理は、事業主体であるENEOSリニューアブル・エナジー(ERE)、イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン、東北電力の3社が出資して設立するO&M新会社が担う。
建設期間の拠点港は
秋田港と室蘭港
運転開始前の工程概要(出典 合同会社八峰能代沖洋上風力)
事業計画によると、陸上工事は2026年3月に開始する。洋上工事の基礎施工は2027年5月から、海底ケーブルの施工は2027年7月から、風車の設置は2028年6月から取り掛かる。運転開始予定時期は2029年6月。
洋上工事を行う際の拠点港として、秋田港と室蘭港を利用する。これは、南側に隣接する第1ラウンド事業の「能代市・三種町・男鹿市沖」で、三菱商事を中心とする企業連合が建設の拠点港として能代港を利用するため、港湾利用の重複を避けるための措置とみられる。「能代市・三種町・男鹿市沖」は2027年6月から洋上工事に着手し、2028年12月に運転を開始する予定。運転開始後は、能代港をO&Mの拠点港として活用する。
室蘭港に入港した清水建設の大型SEP船(出典 国土交通省室蘭開発建設部 2023年6月)
室蘭市と清水建設は2022年7月、SEP船「BLUE WIND」の母港を室蘭港とする協定書を締結している。期間は2023年4月1日から5年間となっているが、両者の合意により延長可能としている。室蘭港は、大型船の入港に必要な水深があり、船を安定して固定する強固な地盤を備えていることが評価された。「秋田県八峰町、能代市沖」の洋上工事では、建設資材の保管や積み込みなどで室蘭港を利用する見通しだ。
取材・文/高橋健一