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多様なプレーヤーが参入! 膨らむ風力ビジネスのニーズと未来

風力発電による電気は、CO2排出量の削減を目指す需要家の間でニーズが高まっている。PPAやアグリゲーションビジネスの活用によって、風力ビジネスの可能性が膨らむ。

<目次>
1.コスモエコパワー、Amazonとの大型PPAを締結
2.HSE、FIP活用でアグリゲーションへ参入

 

コスモエコパワー、
Amazonとの大型PPAを締結

新むつ小川原ウィンドファームの建設の様子
新むつ小川原ウィンドファームの建設の様子。(画像提供:コスモエコパワー)

需要家の再エネニーズを反映
風力発電PPAの多様化が進む
  
コーポレートPPAとは、需要家である企業と発電事業者との間で締結する長期の電力調達契約だ。発電事業者が発電所の設置、所有、O&Mなどを行い、需要家は使用した電力量に応じたサービス料を支払う。長期にわたって安定的な取引ができることから、需要家と発電事業者の双方にメリットがある。

コスモエネルギーホールディングスのグループ会社であるコスモエコパワーは2024年7月、アマゾン・ドット・コム(米国)とコスモエコパワーが青森県六ケ所村に建設中の新むつ小川原ウィンドファームにおいて、コーポレートPPAを締結したと発表した。新むつ小川原ウィンドファームは03年、コスモエコパワー(当時エコ・パワー)が運転を開始した31.5MWの陸上風力発電所を、設備容量33MWにスケールアップしたもの。25年上半期の運転開始を予定している。アマゾンは、データセンターや物流拠点で使用する電力と環境価値を確保するため、国内で約20件の再エネ発電所とのPPA締結を公表しているが、風力発電所によるPPAは今回が初めてだ。

さらに、24年8月には、西日本旅客鉄道とバーチャルPPAを活用した鉄道事業の再エネ活用に関する基本合意書を締結した。バーチャルPPAでは、再エネの電気が持つ環境価値(二酸化炭素を排出しないという価値)だけを取引し、需要家は電力卸市場などから電気を調達する。従来のFIT制度を中心とした発電事業の枠を超えて、風力発電の取引の多様化をリードする。


 

HSE、FIP活用で
アグリゲーションへ参入


HSE連結子会社が運営する青森県横浜町の雲雀平風力発電所。FIPへ移行した風力発電所の1つだ。(画像提供:HSE)

陸上風力発電所をFIPへ移行
新しいビジネスモデルを構築
  
三菱HCキャピタルのグループ会社であるHSEは23年、運営する東北の陸上風力発電所6ヶ所、10万1000kWをFITからフィード・イン・プレミアム(FIP)へと移行し、「再エネアグリゲーション事業」という新しいサービスを始めた。FIP制度で必須となる発電量の予測や発電販売計画を作成し、それらに基づいて再エネ電気や非化石価値を小売電気事業者などに提供する。

アグリゲーションビジネスとは、再エネ発電所や蓄電池など複数のエネルギーリソースを束ね、効率的かつ安定的に電力需給のバランスを取ることで価値を生み出すもの。アグリゲーターと呼ばれる事業者がエネルギーリソースを取りまとめる司令塔の役割を担う。今回のサービスでは、HSEがアグリゲーターとして、FIP制度へ移行した風力発電所を運用する。「自社傘下の発電所をFIP制度へ移行し、FITでは免除されていた発電量の予測や発電販売計画の作成に自ら取り組んでいます。将来的にアウトソーシングする事業者も増えると考えており、当社はそのニーズに応えることも検討しています」とHSEの担当者は意気込みをみせる。

HSEは全国で35ヶ所、18万5600kWの陸上風力発電所を運営しており、今回の6ヶ所を再エネアグリゲーション事業の第一弾と位置付ける。「足元では、蓄電池のコストが高く事業性を確保するのが難しいと考えていますが、将来的に蓄電池の価格が下がれば、サービスに組み込んで付加価値をさらに高めることが可能になると考えています」と展望を語る。


取材・文:山下幸恵(office SOTO)

WIND JOURNAL vol.7(2024年秋号)より転載

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