注目キーワード

English 日本語

政策・制度

少数激戦の洋上風力第3ラウンド、年内にも2海域の選定事業者を公表へ

洋上風力第3ラウンドの「青森県日本海南側」、「山形県遊佐町沖」で、早ければ年内にも選定事業者が公表される見通しだ。わずか2つの海域で多くの事業者が計画を公表し、少数激戦となっている。

<目次>
1.第2ラウンド 4海域で発電事業者を選定
2.青森県日本海南側 発電出力は60万kW
3.山形県遊佐町沖 発電出力は45万kW
4.第3ラウンドは少数激戦に

 

第2ラウンド
4海域で発電事業者を選定

秋田県八峰町、能代市沖

今年3月に選定事業者を公表した秋田県八峰町、能代市沖

国は2019年4月、発電事業者に一般海域の30年間の占有を認める再エネ海域利用法を施行した。同法に基づき、20年11月から1回目の事業者の公募「第1ラウンド」が実施され、三菱商事を中心とするコンソーシアムが他を圧倒する低い価格を提示して秋田と千葉の計3海域を落札した。

第2ラウンドは、秋田、新潟、長崎の計4海域で22年12月から公募が行われた。このうち23年12月13日に「秋田県男鹿市、潟上市、秋田市沖」、「新潟県村上市、胎内市沖」、「長崎県西海市江島沖」の計3海域で、そして今年3月22日には「秋田県八峰町、能代市沖」でそれぞれ選定事業者が公表された。

青森県日本海南側
発電出力は60万kW

青森県日本海南側の促進区域(出典 経済産業省)

第3ラウンドで事業者を公募したのは、「青森県日本海南側」と「山形県遊佐町沖」の2海域。この2海域は、2023年10月に再エネ海域利用法に基づく促進区域に指定された。このうち、青森県日本海南側は、県の西部のつがる市と鰺ヶ沢町の沖合。促進区域は1万375haで、着床式の発電出力は60万kWを見込んでいる。

青森県日本海南側の法定協議会では、事業者が漁業への影響を調査すること、発電事業で得た利益を今後設置される基金に拠出し、地域や漁業の振興に役立てること、つがる市を含む世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」に影響を及ぼさない事業計画とする、こと、事業者選定から15年間の地域振興策として、漁業者への支援や地元を活用したサプライチェーンを構築することなどを意見集約している。

山形県遊佐町沖
発電出力は45万kW

山形県遊佐町沖の促進区域案(出典 経済産業省)

山形県遊佐町沖の促進区域(出典 経済産業省)

山形県遊佐町沖は、秋田県境にある遊佐町の沖合。促進区域は、吹浦漁港の南側から酒田市との境界にかけての約4100haで、着床式の発電出力は45万kWを見込んでいる。山形県遊佐町の法定協議会では、海岸線から約1.8kmの範囲には洋上風力発電設備を設置しないことや、沖側からの設置を検討すること、それに事業者は地域や漁業との共存共栄の理念を理解し、信頼関係の構築に努めること、超低周波音などの影響に地域住民から不安の声が示される場合は、必要な措置を検討することなどを意見集約している。

第3ラウンドでは、対象となる2区域すべてにフィード・イン・プレミアム(FIP)を適用する。2海域の入札上限価格18円/kWとして、前回の同様の海域よりも1円引き下げた。この理由としては、資本費や運転維持費、撤去費は内外価格差を考慮すべきであること、2海域ともに風況が良いため設備利用率が高まること、原材料価格の上昇などもみられることからIRR(内部収益率)は維持すべきとする一方、陸上風力においてはコスト効率化が進んでいる実態もあり、国民負担の抑制を図りながら再エネの最大限の導入を進めていくため、物価変動リスクに対しても、リードタイムのなかでのコストダウンに向けた事業者の創意工夫を促していくことが重要だとしている。

第3ラウンドは
少数激戦に

事業者を選定する際の評価点の配点は、前回と大きな変更はない。評価点全体の240点のうち、「売電単価」に120点、「事業計画の迅速性」と「電力安定供給」に20点、「運転開始までの事業計画」に15点、「事業実施体制・実績」「資金・収支計画」「周辺航路、漁業などとの協調・共生」「地域経済への波及効果」「国内経済への波及効果」「関係行政機関の長などとの調整能力」に各10点、「運転開始以降の事業計画」に5点が配分されている。

第2ラウンドでは、ひとつの事業体が大半の対象海域を落札しないよう1事業者あたりの落札制限を設けた。1事業体あたりの発電・送電容量の上限を計100万kWとする規制を設け、これを超えた場合は新たな落札をできなくした。第3ラウンドでは、落札制限を適用しない。

供給価格については、第2ラウンドと同様に、2海域とも供給価格がゼロプレミアム水準の3円/kWh以下の場合は、一律120点として評価する。運転開始時期については、2海域とも30年6月30日までの期間は20点、30年7月1日から2031年3月31日までの期間は10点、31年4月1日以降の期間は0点としている。

第3ラウンド2海域の事業者公募は、今年1月19日から7月19日まで実施された。公募に参加した事業者が明らかにされていない。経済産業省と国土交通省は、早ければ年内にも選定事業者を公表する見通しだ。洋上風力第3ラウンドは、わずか2つの海域で、30以上の事業者が環境アセスメントの手続きを行っていて、少数激戦となっている。

DATA

再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業者の公募を開始します


取材・文/高橋健一

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正

広告お問い合わせ

アクセスランキング

  1. 【東洋紡エムシー】洋上風力のコスト低減に貢献する高機能繊維「イザナス」、浮体係留索向けに耐久性能を向上
  2. 北九州響灘洋上ウインドファームが運転開始 愛称は「Wind KitaQ 25」
  3. 【ケイライン・ウインド・サービス】国内洋上風力事業の現場で着々と実績、オフショア支援船や地質調査船が活躍
  4. 【ユーラスエナジー】コーポレートPPAで脱炭素経営をサポート、大手コンビニで風力発電の「地産地消」
  5. 帝人の高性能パラ系アラミド繊維、浮体式の新たな用途を開拓
  6. 秋田市のブレード落下事故で最終報告書「構造上の問題と損傷の未確認が原因と推定」
  7. 【パナソニック コネクト】欧州の風力発電現場で導入、現場DXが加速する堅牢タブレット・PCタフブック
  8. 【洋上風力第2ラウンド】新潟沖は風車機種を変更、秋田県北部沖は陸上工事開始を延期
  9. 【特集】洋上風力「第4ラウンド」の動向まとめ 異例の展開のラウンド事業の行方は?
  10. 三菱商事の撤退要因を分析「低価格の提案を誘導した価格重視の評価制度が反省点」

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正