第7次エネルギー基本計画の原案公表 40年度に太陽光は22~29%程度、風力は4~8%程度
2024/12/17
政府は12月17日、第7次エネルギー基本計画の原案を公表した。再生可能エネルギーを、2040年度には全体の4割から5割程度に拡大して最大の電源とする方針だ。太陽光は全体の22~29%程度、風力は4~8%程度としている
第6次エネルギー基本計画
再エネ比率は36~38%
日本の電源構成の推移(出典 経済産業省)
「エネルギー基本計画」は、エネルギー政策の方針を示すものだ。エネルギーの需給や利用に関する国の政策の基本的な方向性を定めるもので、政府が策定する。エネルギー政策基本法に基づいて、概ね3年ごとに改定されており、長期的なエネルギー戦略を形成している。
政府は、今年5月に総合資源エネルギー調査会基本政策分科会を開催し、エネルギー基本計画の見直しに向けての議論を開始している。現在の第6次エネルギー基本計画は、30年度の「温室効果ガス46%削減」に対応し、21年に改訂された。第6次エネルギー基本計画では、電源構成に占める30年度の脱炭素電源比率を約6割としている、その内訳は、「再生可能エネルギー36~38%」、「原子力20~22%」、「水素・アンモニア1%」としている。
第6次エネルギー基本計画では、再エネを、温室効果ガスを排出しない脱炭素エネルギーだとして、再エネの主力電源化に最優先で取り組む方針を示している。これに伴い、30年度の電源構成については、再エネ比率の目標を第5次エネルギー基本計画の「22~24%」から「36〜38%」へと大幅に引き上げている。「36〜38%」の内訳は、太陽光103.5〜117.6GW、陸上風力17.9GW、洋上風力5.7GW、地熱1.5GW、水力50.7GW、バイオマス8.0GW、と、太陽光の比率が圧倒的に多い。
第7次エネルギー基本計画
再エネを初めて最大の電源に
各国の電源構成の比較(出典 経済産業省)
23年の日本の電源構成(速報値)は、化石燃料由来が前年比5.8%減の66.6%、再エネが同3.0%増の25.7%、原子力が同2.9%増の7.7%となっている。第7次エネルギー基本計画では、「50年カーボンニュートラル」への中間目標として、40年度の削減目標と脱炭素電源の構成比率について議論が進められている。
40年度の電源構成の目標を決めるにあたっては、AI(人工知能)の普及やデータセンターの市場規模拡大による電力需要の増加が見込まれるなか、温室効果ガス削減目標と電力の安定供給をどのように両立するのかが大きな課題となっている。
2040年度におけるエネルギー需給の⾒通し(出典 経済産業省)
12月17日に公表された第7次エネルギー基本計画の原案では、40年度に発電電力料は、1.1~1.2兆kWh程度と、23年度に比べて電力需要が2割程度増えると想定している。40年度の電源構成については、①再生可能エネルギーの割合を4割から5割程度、②火力を3割から4割程度、③原子力を2割程度とする方向性が示された。今回の素案では、再生可能エネルギーを初めて最大の電源と位置づけている。
再生可能エネルギーのなかで、太陽光は全体の22~29%程度、風力は4~8%程度、水力は8~10%程度、地熱は1~2%程度、バイオマスは5~6程度としている。原子力については、東京電力福島第一原発の事故以降、エネルギー基本計画に盛り込まれてきた「可能な限り依存度を低減する」という文言は明記せず、再生可能エネルギーとともに、最大限活用する方針を示している。
17日の分科会では、40年度時点の電源別の発電コストの試算結果が示された。40年度に発電所を建設した場合、1kWhの発電費用を算出している。それによると、事業用太陽光が7.0~8.9円、原発が12.5円以上、陸上風力が13.5~15.3円、着床式洋上風力が14.4~15.1円、液化天然ガス(LNG)が16.0~21.0円、アンモニア混焼の石炭が20.9~32.0円などとしている。参考値として、ペロブスカイト太陽電池は16.5円、浮体式洋上風力は22.5円と算出した。第7次エネルギー基本計画について、政府はパブリックコメント(意見公募)を経て、25年3月までの閣議決定を目指す。
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取材・文/高橋健一