【 開催レポート 】第4回WINDビジネスフォーラム / ラウンド最新動向とサプライチェーン構築
2024/12/18
早ければ年内に選定事業者が公表される洋上風力第4ラウンド以降の展望のほか、各地域で期待される着床式・浮体式のサプライチェーン構築による産業振興、ゼロカーボンの推進、世界が注目する最先端の技術トレンドを紹介します。
第4回WINDビジネスフォーラムを
レポート!
北海道石狩市
企画政策部企業連携推進課
新産業創出担当課長
池内 直人氏
講演:「再エネと産業の“地産地活”を目指す石狩市の挑戦」
石狩市は、札幌市の北側に隣接し、南北に約 70 ㎞にわたり日本海に面するまちである。漁業や農業といった一次産業を中心としてまちが発展し、昭和 40 年代以降は、札幌圏の都市機能の拡大により人口が増加した。北海道最大の産業拠点である石狩湾新港地域は、物流・製造業に加え、近年ではデータセンターや大型商業施設が立地するなど都市型の産業空間として、今後も更なる成長が見込まれている。風力やバイオマス発電などの再生可能エネルギーも大規模に集積が進んでおり、石狩市では、これらの地域特性を活かし再エネと産業が同一エリアに集積する次世代型のサスティナブルな地域づくりに取り組んでいる。石狩市は、2020 年に「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、2022 年4月には環境省から第1回脱炭素先行地域に選定された。脱炭素の実現と地域価値の向上を同時に達成することを目指している。
日本オラクル株式会社
インフラストラクチャー・グローバル・インダストリー・ユニット
建設・エンジニアリング事業部
カントリーマネージャー
岡本 智臣氏
講演:「洋上風力発電のプロジェクト管理について」
Oracle Aconex(オラクル アコネックス)は、建設やインフラ整備、エネルギー、資源分野のプロジェクトにおいて、プロジェクトのデータ管理や共有、プロセス管理を行うためのオンラインコラボレーションプラットフォームである。文書や図面、指示、コメントなどのやり取りを記録し、一元管理するとともに、正確な情報の共有により、作業の手戻りの少ない快適なコラボレーションを実現する。また、プロジェクトのライフサイクル全体にわたるチームとプロセスを1つのプラットフォームで結び、進捗を支援する。WINDビジネスフォーラムでは、欧州や便国の洋上風力プロジェクトでOracle社の建設&エンジニアリングソリューションを適用して円滑に事業を遂行した事例を紹介した。
問い合わせ
日本オラクル株式会社
✉️:yoko.a.arai@oracle.com
担当:新井
一般社団法人機械振興協会 経済研究所
執行理事 兼 所長代理
北嶋 守 氏
講演:「洋上風力産業形成に向けたサプライチェーンの構築と人材育成」
北嶋氏は、産業クラスター論、地域イノベーション論、中小企業論を研究している。マイケル・ポーターが考案したダイヤモンドモデルを活用し、日本の洋上風力の産業化において、その国際競争力を高めるために必要な「人材育成」に絞って考察し、WINDビジネスフォーラムで研究成果を披露した。その中で、洋上風力の普及とその産業化では、多種多様な業界・業種・企業、さらに教育・訓練機関、支援機関など異なるセクター間の相互連携が重要となること、洋上風力の建設地域周辺の中堅中小企業にとっても大きなビジネスチャンスになるため、公的支援機関の能力も問われることになること、今後、着床式洋上風力で蓄積されるノウハウを次の浮体式洋上風力に活かしながら、洋上風力を日本の牽引産業に成長させると共に地域産業の活性化につなげる仕組みづくりが重要となることを強調した。
Second Foundation Japan
アグリゲーションスペシャリスト
ロッド・アダム氏
講演:「非フィット風力発電資産の収益の最適化 ドイツで学んだ教訓」
Second Foundation はチェコ共和国で2019年に設立された。欧州卸電力取引のスポット市場における主要トレーダーの1社として、また配電網レベルのバッテリーエネルギー貯蔵システム (BESS) を含む再生可能エネルギーと柔軟性エネルギー資産のアグリゲーターの1社として、短期間のうちにその地位を確立した。数理学的分野の優秀な研究者、トレーダー、開発者を擁するSecond Foundation グループは、チェコ、スイス、ドイツ、米国、日本にオフィスを構え、グローバルに事業を展開している。独自のアルゴリズムを活用し、自社開発した取引ソフト「ソフォン」を活用し、欧州市場では年間48TWhの電力取引量を誇る。欧州の複数の市場において、需給調整市場の経験があり、ドイツ・日本で計1万5000MWhの蓄電池を自社で開発している。
問い合わせ
北海道寿都町
公営企業管理課
風力発電事業係長
土開 直樹 氏
講演:「再生可能エネルギーを活用した循環型社会づくり ~ “風”を地域の資源として ~」
寿都町は、北海道南西部、日本海に面し、北海道後志管内の西部、南の中核都市函館市と道都札幌市のほぼ中間に位置している。年間を通して風が強く、大型風力発電施設を湯別地区と浜中地区に建設し、自然エネルギーを活用したまちづくりを展開している。町では今年2月に、再生可能エネルギーを地域で活用したまちづくりを進めるための指針となる「寿都町CO₂フリーの循環型地域社会づくりに向けたエネルギービジョン」を策定した。FIT終了後の風力発電電力をはじめとする再エネを地域産業の振興やレジリエンスの強化などに活用し、地域内でのエネルギー循環システムの構築を目指している。近年は、周辺の6町村とともに「岩宇・南後志地区沖」の洋上風力発電事業に取り組んでいる。同海域は、日本におけるセントラル方式のフロントランナーとして漁業振興策や地域振興策をはじめとする地域の将来像をつくりあげることを目指している。
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取材・文/高橋健一