陸上風力発電への環境配慮のあり方についてパブリックコメントを実施
2024/12/26
内閣府は、陸上風力発電事業の環境影響評価制度のあり方についてのパブリックコメントを実施する。立地に応じ地域の環境特性を踏まえた、効果的かつ効率的な環境配慮の確保の仕組みについて検討した審議会の答申案について意見を募集する。
1.陸上風力への環境配慮のあり方を審議
2.パブリックコメントの実施内容
陸上風力への
環境配慮のあり方を審議
中央環境審議会で陸上風力への環境配慮のあり方を審議
環境影響評価法は、1997 年に成立した後、その施行から10年以上が経過した中で把握された課題等に対応するため、中央環境審議会の答申を踏まえ、2011 年に改正され、13年に改正法が完全施行された。改正法の附則において、「政府は、この法律の施行後十年を経過した場合において、この法律による改正後の環境影響評価法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」こととされており、改正法の施行から10年以上が経過したことから、当該附則に基づく見直しに向けた検討が必要な時期を迎えている。
24年5月に閣議決定された第6次環境基本計画においても、「環境影響評価法については、前回改正の完全施行から 10 年が経過したことを踏まえ、附則の規定に基づき、改正法の施行の状況について検討し、より適正な環境配慮を確保するための制度のあり方について総合的な検討を行う」こととされている。こうした経緯を踏まえ、24年10月に環境大臣から中央環境審議会に対し、「今後の環境影響評価制度のあり方について」の諮問がなされたところである。
政府は、気候変動問題について、50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする 50 年ネット・ゼロの目標の下で、30 年度に温室効果ガスを 13年度から46%削減し、さらに 50%の高みを目指して挑戦を続けることを宣言している。生物多様性分野においては、22年12月に採択された世界目標である昆明・モントリオール生物多様性枠組を踏まえ、我が国においても50年までに自然と共生する社会の実現を目指し、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる30年ネイチャーポジティブの目標を掲げている。
こうした中、風力発電事業については、近年、環境影響評価手続の件数が増加傾向にあり、今後もさらなる導入拡大が期待されていることから、23年9月に環境大臣から中央環境審議会に対し、「風力発電事業に係る環境影響評価のあり方について」の諮問がなされた。その後、24年3月に、まずは、風力発電事業のうち、再エネ海域利用法に基づき実施される洋上風力発電事業に係る環境配慮の在り方が一次答申として取りまとめられた。この一次答申では、風力発電事業全体に係る環境影響評価制度の在り方について結論を出すべく、陸上風力発電事業に関しても、立地に応じ地域の環境特性を踏まえた、効果的かつ効率的な環境配慮の確保の仕組みについて検討を進める必要性があるとの指摘がなされている。
また、風力発電事業については、20年に内閣府特命担当大臣(規制改革)主宰で開催された「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」からの指摘等を経て、21年に閣議決定された規制改革実施計画を踏まえ、第一種事業の規模要件の引き上げがなされている。他方、陸上風力発電事業では、小規模であっても、著しい環境影響が懸念されるものが存在することから、同規制改革実施計画では、「効果的・効率的なアセスメントに係る制度的対応のあり方」についても検討を進めていくことが必要とされている。
これまでの経緯を踏まえ、「今後の環境影響評価制度のあり方について」及び「風力発電事業に係る環境影響評価のあり方について」の両諮問に対する結論を得るため、24年11月より、中央環境審議会総合政策部会「環境影響評価制度小委員会」及び「風力発電に係る環境影響評価制度のあり方に関する小委員会」における審議が進められた。この答申案は、両小委員会における審議の結果を踏まえ、陸上風力発電事業に係る環境影響評価制度を含む今後の環境影響評価制度全体のあり方を示すものである。
パブリックコメントの
実施内容
1.意見募集の対象
今後の環境影響評価制度のあり方について(答申)(案)及び風力発電事業に係る環境影響評価のあり方について(二次答申)(案)
2.意見募集期間
2024年12月25日(水)から2025年1月23日(木)まで
※ 郵送の場合は締切日必着
3.資料の入手方法、意見の提出方法
e-Govパブリック・コメント
DATA
取材・文/高橋健一