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電事連の林会長 洋上風力発電の投資環境の改善やファイナンスの支援を要請へ

開発コストが上昇している洋上風力発電について、電気事業連合会の林欣吾会長は1月17日の定例記者会見で、行政に対して投資環境をよくすることやファイナンスのバックアップについての支援を求めていく考えを示しました。

メイン画像 記者会見する電気事業連合会の林欣吾会長(写真提供 電事連)

安定供給と経済成長
脱炭素化の同時達成を目指す

電気事業連合会は、国内の電力会社の事業者団体である。1952年に旧日本発送電の9電力会社が設立した。2000年3月から沖縄電力が加入している。現在は、中部電力社長の林欣吾氏が会長をつとめている。

林氏は1月17日の定例会見で、2025年の抱負について「脱炭素化に向けては、世界規模での連携はもちろん、とりわけアジアにおいて、AZECのような枠組みなどを通じて、わが国がリーダーシップを発揮していくことが求められております。日本の技術力を活かし、国際貢献していくことは、地球規模での実効ある脱炭素化を進めていくことにつながります。いまこそ、官民が一体となって、国をあげて取り組んでいく必要があると考えております。こうしたわが国の状況を踏まえまして、年末にはご存じのとおり、エネルギー基本計画の案と、GX2040ビジョンが打ち出されました。そのなかで、エネルギー安全保障と安定供給を第一に据え、不確実性がある中でも、電力需要が大きく伸びていく環境において、特定の電源や燃料に過度に依存することなく、バランスを重視したリアリティのある方針が打ち出されたものと考えております。また、再エネの進展度合いに応じたリスクシナリオも追加されており、その対策として、LNG確保の重要性にも言及されるなど、経済成長と脱炭素化を見据えた柔軟な検討も示されました。今後は、これをいかにして実行に移していくかが、大変重要なことだと考えております」と述べた。

今後の取り組みについては「事業者としては、日々の安定供給の使命を果たしながら、中長期的に脱炭素化を進め、将来に向けた供給力を確保していく所存であります。そのためには、再エネの普及拡大、原子力の最大限の利用、火力の脱炭素化など、あらゆる手段を、全力で、投入してまいります。原子力については、安全を大前提に、稼働しているプラントの安定稼働、さらなる再稼働を進めてまいります。また、今回のエネ基の案には入りませんでしたが、将来にわたり、サプライチェーンをしっかりと維持していくためには、国としての開発規模の目標を持つべきであると考えております。いずれは、新増設も必要になってくると考えております。今年は、新たなエネ基のもとで、制度設計の具体化の議論が本格化してきますが、安定供給と経済成長、脱炭素化の同時達成に向けて、電源開発のリードタイムも踏まえた、長期的な視点で供給力確保を可能とする制度措置を固めていく必要があります」と話した。

洋上風力発電は
ビジネスとして非常に厳しい状況

このなかで、開発コストが上昇している洋上風力発電ついては「洋上風力発電はビジネスとして非常に厳しい状況にある」との認識を示した。そのうえで、事業者が予見性を高めていくために行政に対して投資環境をよくすることや、ファイナンスのバックアップをする制度の創設を求めていく考えを強調した。

洋上風力発電の事業実現性を高めるため、経済産業省はラウンド事業の公募評価基準の見直しを進めるとともに、FIP基準価格を落札後に調整する新たな制度を導入する考えを示している。

DATA

2025年1月17日に開催した電事連会長定例記者会見


取材・文/高橋健一

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