今月から浮体式産業戦略の策定作業を本格化 2040年の導入目標を議論
2025/03/10

経済産業省と国土交通省は、今月から浮体式洋上風力発電の導入拡大に向けた産業戦略の策定作業を本格化する。2040年までの全体目標のうちどの程度を浮体式が担うのかについて、初めて目標値が設定される見通しだ。
2020年12月に
第1次洋上風力産業ビジョンを策定
浮体式洋上風力に関する産業のあり方などを検討
経済産業省と国土交通省は、洋上風力発電の導入拡大に加えて、関連産業の競争力強化、国内産業集積、インフラ環境整備などの相互の「好循環」を実現するため、2020年7月に「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」を設置し、同年12月に「洋上風力産業ビジョン(第1次)」を策定した。
このビジョンでは、30年までに10GW、40年までに30~45GWの洋上風力発電の案件を形成する目標を設定している。再エネ海域利用法に基づいて、24年12月までに着床式洋上風力を中心に計約4.6GWの案件を創出している。「浮体式産業戦略検討会」は、今後、普及拡大が期待される浮体式洋上風力に関する産業のあり方などを検討することを目的としている。
官民協議会で
第2次産業ビジョンを取りまとめ
浮体式産業戦略検討会は23年6月に初会合を開催し、23年7月までに5回の会合を開いている。しかし、その後は洋上風力発電をめぐる汚職事件や「政治とカネ」の問題などもあって、会合が開かれていなかった。経産省と国交省は3月に6回目の会合を開くのに続いて、複数回にわたって検討会を開催したのち、官民協議会で「洋上風力産業ビジョン(第2次)」(仮称)を取りまとめる予定。検討会では、浮体式洋上風力に関する国内産業の国際競争力の強化や魅力ある市場形成などに向けた取り組みについて議論する。
政府は、検討会の議論を踏まえ、今後の産業戦略と導入目標を策定し、国内外から投資を呼び込む方針。このなかでは、2040年までの洋上風力の全体目標である30~45GWのうちどの程度を浮体式が担うのかについて、初めて目標値が設定される見通しだ。
DATA
取材・文/高橋健一