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石狩湾新港沖 SEP船で洋上風車の設置工事スタート

北海道の石狩湾新港沖で進められている洋上風力発電プロジェクトで、SEP船による洋上風車の設置工事が7月14日から開始された。1基の風車を3日間で組み上げ、8月末までに14基の建設を終える方針。

(アイキャッチ画像 出典:清水建設)

1基の風車を
3日間で組み上げる

ジャケット式基礎の設置工事800(写真提供 株式会社グリーンパワーインベストメント)

ジャケット式基礎の設置工事(写真提供 株式会社グリーンパワーインベストメント

石狩湾新港沖の洋上風力発電プロジェクトは、「グリーンパワーインベストメント」が設立した特別目的会社「合同会社グリーンパワー石狩」が進めている。計画では、小樽市と石狩市にまたがる石狩湾新港の沖合に、出力8000kWの風車を14基設置する。最大出力は11万2000kW。一般家庭約8万3000世帯分の電力を賄うことができる。

2020年8月から陸上で送電施設の工事が始まり、2022年5月には海上で杭を打設する工事が開始された。海上の工事では、国内で初めて「ジャケット式」の基礎が採用されている。ジャケット式は4本脚の格子状で、大水深、もしくは大口径杭の打設が難しい岩盤地質で使用される。

7月14日からは、清水建設が建造した国内最大のSEP船「BLUEWIND」が港の沖合約1.6kmの地点で洋上風車の設置工事を開始した。高さ90メートルのタワーと、長さが84メートルのブレード、それに発電機が入ったナセルなどを船に積み込んで洋上の現場へ運び、1基あたり3日間で組み上げる。

今年12月の
運転開始を目指す

石狩湾新港沖 完成イメージ図800 出典グリーンパワーインベストメント

完成イメージ図(写真提供 株式会社グリーンパワーインベストメント

清水建設のSEP船「BLUEWIND」は総工費が約500億円。波や風の影響を受けないように4本のジャッキを海底に伸ばして、長さ142m、幅50mある船体を、海面の上10メートルの高さに持ち上げた状態で作業を進める。船には高さ158mまで伸びる、巨大なクレーンがついていて、重さ2500トンまでの部材をつり上げられる。同船には約130人が乗り込み、建設作業は24時間体制で行われる。

タワーなどの部材は、石狩湾新港で組み立ててからSEP船に積み込む。風車2基分の部材を搭載し、同港と建設現場を7往復する予定。地元の漁協との取り決めで秋さけ漁が始まる前までに海上の作業を済ませることになっていて、8月末までに14基の建設を終え、12月には商業運転を開始する方針。


取材・文/高橋健一

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