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商船三井と北拓、洋上風力発電のO&Mに特化したトレーニング設備を竣工

商船三井と北拓は、「洋上風力発電のO&Mに特化したトレーニング設備」を共同で建設した。一般開講に向けた準備が整い次第、、トレーニングの提供を始める。8MWの洋上風車のトランジションピースを模した設備で、実践的なトレーニングを行うとしている。

(竣工式には地域の関係者や工事関係者などが集った。筆者撮影)

実践的なトレーニング設備
安全なO&Mのための人材を育成

(竣工式で挨拶する北拓の林龍太社長。筆者撮影)

「実践的でより現実に即したトレーニングを提供したい、安全で効果的な風車メンテナンスを行える人材を育成したいという思いが詰まったトレーニング設備が完成しました」。北拓の林龍太社長は、「洋上風力発電のO&Mに特化したトレーニング設備」の竣工式にあたって、こう挨拶した。

商船三井とグループ会社の北拓は5月21日、北拓の北九州支店(福岡県北九州市)の敷地内に共同で建設した「洋上風力発電のO&Mに特化したトレーニング設備」の竣工式を執り行った。式には北九州市の片山憲一副市長をはじめ、50名あまりの関係者が集まり、晴天のもとで設備の完成を祝った。

CTVからの乗り移り訓練
波による揺れを再現

(北拓北九州支店の敷地内に新設されたトレーニング設備。筆者撮影)

8MW規模の洋上風車のトランジションピースを模したトレーニング設備は、高さ23m、最下部の直径は6.7m。洋上風車にアクセスするための、CTV(Crew Transfer Vessel、人員輸送船)からトランジションピースに乗り移る訓練や、ダビッドクレーンという特殊なクレーンの使用・点検方法を学ぶトレーニングなどを提供する。将来的には、ヘリコプターから最上部のアクセスデッキへの降下訓練も行うとしている。

(手前のステージの下部にシリンダーがあり、波の揺れを再現する。筆者撮影)

CTVに見立てた黄色い柵のついたステージは、下部のシリンダーが上下・左右・前後に動き、波の揺れを再現する。インプットするデータによって、日本海側や太平洋側など、さまざまな高さ・強さの波を再現できるという。

(CTVからの乗り移り訓練のデモンストレーション。筆者撮影)

21日午後に行われた見学会では、ニッスイマリン工業(北九州市)のインストラクターらがトランジションピースに乗り移り、アクセスラダーを上るデモンストレーションを行った。

洋上風力発電O&M関係者向けに
広く受講を受け付ける予定

(ダビッドクレーンを用いた荷下ろしのデモンストレーション。筆者撮影)

一般開講に向けた準備が整い次第、トレーニングの申し込み受付を開始する。全国から洋上風力発電のO&Mや建設に携わる作業員や技術者の受講を受け付け、10年間で1500人の受講を目指すとしている。

建設作業員にも必須の訓練
人材育成通じ洋上風力へ貢献

(北九州響灘洋上ウインドファームの建設の様子。筆者撮影)

北九州市では、響灘洋上ウィンドファームの建設が本格化し、ジャケット式基礎の敷設が進んでいる。洋上風車のメンテナンス技術者だけでなく、建設に携わる作業者にとっても、風車へのアクセスや救助作業などのトレーニングは欠かせない。

「日本の風力発電産業にとって、人材の確保・育成は喫緊の課題。市場を健全に発展させるためにも、志の高い人材を募る必要があります。このトレーニング設備を1人でも多くの方にご利用いただき、ぜひ日本の洋上風力発電産業に貢献していっていただきたいと考えています」と林氏は意気込みを語った。

DATA

商船三井 洋上風力発電のO&M(運用・保守管理)トレーニング設備が北九州に完成、竣工式を実施

株式会社北拓


取材・文:山下幸恵(office SOTO)

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