浮体式洋上風力実証事業「フェーズ2」 秋田県南部沖と愛知県田原市・豊橋市沖の2海域を選定
2024/06/11
経済産業省は6月11日、浮体式洋上風力発電の導入に向けた実証事業について、「秋田県南部沖」、「愛知県田原市・豊橋市沖」の2海域で実施すると発表した。北海道沖の2海域は選定されなかった。
昨年10月に
候補の4海域を選定
次世代浮体式洋上風力の技術開発のイメージ(出典 NEDO)
浮体式洋上風力実証事業の実施候補区域は、全国の都道府県から公募した。実施候補区域は、実証事業の実施により操業上の調整が生じる者から実証を実施することに対する理解が得られていること、将来、候補区域に隣接する区域の促進区域化を目指していること、候補区域の水深が50m以上であること要件としている。
浮体式実証事業には4道県5区域の応募があり、有識者による第三者委員会の意見を踏まえて2023年10月に「北海道石狩市浜益沖」、「北海道岩宇・南後志地区沖」、「秋田県南部沖」、「愛知県田原市・豊橋市沖」の4海域を選定した。
秋田県南部沖
丸紅洋上風力開発が幹事会社に
経済産業省は6月11日、浮体式洋上風力発電の導入に向けた実証事業について、「秋田県南部沖」、「愛知県田原市・豊橋市沖」の2海域で実施すると発表した。
秋田県南部沖は、由利本荘市とにかほ市の沖合で、候補区域の面積は約3000ha。事業者は、丸紅洋上風力開発が幹事会社で、東北電力、秋田県南部沖浮体式洋上風力、ジャパン マリンユナイテッド、東亜建設工業、東京製綱繊維ロープ、関電プラント、JFEエンジニアリング、中日本航空の計9社が選定された。秋田県南部の沖合約25km、水深約400m の海域に、1基あたり1万5000kW 超の風力発電機2基を設置する。セミサブ型の浮体を想定していて、2029年秋頃の運転開始を予定している。実証期間は、2024年7月~2031年3月。(予定)
幹事会社の丸紅洋上風力開発は、「丸紅グループは、浮体式洋上風力発電事業において、福島沖、北九州市沖で実証事業に参画、2022年には英国スコットランドでの開発に関する海域リース権益を落札し、事業開発を進めています。本事業への参画により、浮体式洋上風力発電のコスト低減につながる実証研究を進め、国内外での案件形成やサプライチェーン構築を通じて浮体式洋上風力発電を推進することで、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます」としている。
愛知県田原市・豊橋市沖
シーテックが幹事会社に
愛知県田原市・豊橋市沖は候補区域の面積が約1306ha。事業者は、中部電力グループのシーテックが幹事会社で、日立造船、鹿島建設、北拓、商船三井の計5社が選定された。1基あたり1万5000kW 超の風力発電機1基を設置する。セミサブ型の浮体を想定している。実証期間は、2024年7月~2031年3月。(予定)
2024年度から
フェーズ2を開始
NEDOは、総額2兆円の「グリーンイノベーション基金」を活用して「洋上風力発電の低コスト化プロジェクト」を進めている。2030 年までに一定条件下で着床式洋上風力発電の発電コストが8~9円/kWhとなることを見通せる技術や、浮体式洋上風力発電を国際競争力のあるコスト水準で商用化する技術の確立を目指している。
2022年から「フェーズ1」として、台風、落雷などの気象条件やうねりといった海象条件などが存在するアジア市場に適合し、日本の強みを活かせる要素技術の開発を4つの分野で取り組んでいる。2024年度からは、「フェーズ2」として、システム全体として関連要素技術を統合した浮体式洋上風力の実証事業を開始する。
DATA
グリーンイノベーション基金「浮体式洋上風力発電実証事業」の実施海域及び事業者を決定しました
取材・文/高橋健一