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【検証】三菱商事、社長会見の一問一答 洋上風力第1ラウンド撤退の背景は?

三菱商事は8月27日、洋上風力第1ラウンドの3海域から撤退する方針を正式に表明した。中西勝也社長は「風車メーカー3社の値上げが大きく影響した」と説明した。冒頭発言と主なやりとりは以下のとおり。

メイン画像:第1ラウンド「秋田県能代市・三種町・男鹿市沖」

 

<目次>
1.【冒頭発言】
2.【主なやりとり】

 

【冒頭発言】

「ステークホルダーのみなさまにご心配をおかけするなか、このような結果になったことをたいへん重く受けとめており、断腸の思いであります。2021年5月に応札して以降、コスト面については、新型コロナウイルスのまん延やウクライナ危機に端を発し、サプライチェーンのひっ迫、インフレ、金利上昇、為替など、洋上風力業界を取り巻く事業環境が世界的に大きく変化した結果、想定をはるかに超えてコストが膨らみました。再評価の過程では、風車メーカーの変更、工法の見直し、工程の短縮、サプライチェーンの見直しといった可能性も含めて、あらゆる可能性を精査しました。建設費用は当初の見込みの2倍以上の水準まで膨らんでいます。

一方、収入面については、事業期間の延長やFIPへの移行などの施策を含めてコスト増加に対応する方策を検討してまいりましたが、仮に事業期間の延長やFIPへの移行が実現した場合においても、総売電収入より、保守・運転費用を含めた総支出の方が大きく、実現可能な事業計画を立てることは困難との結論に至りました」。

 

 

【主なやりとり】


記者会見する三菱商事 中西勝也社長(出典 三菱商事)

―――価格設定の見通しは的確だったのか。
「2021年5月の入札時点で見通せる事業環境、その時の資材価格、インフレ、金利なども含めて十分な採算を確保したうえで、当社の社内投資基準に従って提案しました。その結果、事業計画の実現性と財務計画の適切性を評価していただき、事業者に選定されました。今回の意思決定は、安値ということとは論点が違って、事業環境の激変によるものです」。

―――先行投資を進めてきた地元企業への影響を考慮したのか。
「地元の方々の期待を裏切る結果となり、たいへん申し訳なく思っています。しかし、地域共生をやめようとは思っていません。秋田市と千葉県銚子市に開設した支店については存続させて、地域共生のあり方について地元の方々と話し合いをさせていただけたらと考えています」。

―――FIPへの移行や海域占用期間の延長が実現しても、事業継続はできなかったのか。
「FIP制度に転換して落札価格の2倍以上の金額で30年間売電したとしても、投資を回収できないと判断しました。何千億円の投資をして、リターンがマイナスになる事業について、民間企業はそのリスクをとれないと考えています。FIPになったとしてもできないというのは、制度が追いついていないということが実態としてあるかと思います。事業期間が単純に20年から30年、40年になったときに、収入が1.5倍、2倍になるというのは、極めて乱暴な議論だと思っています」。

―――日本の洋上風力が発展していくためには何が必要なのか。
「洋上風力の最も重要な要素は風車です。欧米の大手風車メーカー3社の値上げに伴う価格変更が、今回の決定に大きな影響を与えたと考えています。欧州では、2010年以前から手厚い補助金を交付して風車のサプライチェーンをつくり、製造コストを下げていったことによって洋上風力発電事業が開花しました。いまのところ、風車の大手メーカーは欧米の3社しかありません。自分がずっと欧州の案件をみてきた経験から言うと、国内に風車のサプライチェーンをつくっていくことが重要だと考えています」。

 

 


WIND JOURNAL vol.9(2025年秋号)より転載

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