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政策・制度

【洋上風力の事業環境整備】第2・第3ラウンド選定事業者への政策措置を検討

洋上風力発電の事業環境整備について議論する国の合同会議が11月10日に開かれた。国側は洋上風力の持続可能な基盤を確立するため、第2・第3ラウンドの選定事業者への政策措置の検討を進める考えを強調した。

<目次>
1.第1ラウンド撤退の要因分析を 非公開で議論
2.20年後の2045年に 発電コストを約6割に低減へ
3.第2・第3ラウンド選定事業者への 政策措置を検討

 

第1ラウンド撤退の要因分析を
非公開で議論

秋田県能代市、三種町、男鹿市沖

洋上風力第1ラウンド「秋田県能代市・三種町・男鹿市沖」

政府は、公募制度の見直しを含む事業環境整備について年内をめどに一定の整理をつける意向を明らかにしている。11月10日の会議では、「三菱商事に対する質問と回答」と「第1ラウンド事業からの撤退の要因分析」について非公開で議論した。

続いて、業界団体の日本風力発電協会(JWPA)から意見聴取した。そのなかでJWPAは、洋上風力は国内においていまだ黎明期にあるなか、インフレや金利の上昇などの事業環境変化の影響を受け、足下のコストは高まっており、インフレなどによる建設コスト増加を理由として第1ラウンドの3海域で事業者が撤退した。これを受けて、協会内の発電事業者や風力発電機メーカー、風力発電機などの部品サプライヤー、基礎製造サプライヤーなどからは、今後も事業撤退が相次いだ場合、中長期的な投資のための予見性が損なわれ、すでに投資済みの計画の廃止や今後に向けて現在検討している投資が当面見送り、または白紙になるとの声も寄せられているとして、政府が検討している事業環境整備において、第2、第3ラウンドを筆頭に着実な案件形成と事業完遂につながる政策・制度の整備を要望した。

 

 

20年後の2045年に
発電コストを約6割に低減へ

発電コストの推移の見通し(出典 日本風力発電協会)

発電コストの推移の見通し(出典 日本風力発電協会)

そのうえで、JWPAは着実な案件形成・事業完遂が進めば、産業界としてサプライチェーンなどの産業基盤の構築に向け一層努力し加速させていくことにより、自立化水準まで発電コスト低減が可能だとして、具体的な試算を公表した。

JWPAでは、発電コスト (割引率3%)が現状の22.4円/kWhから、2045年には少なくとも約13.4円/kWhへ低減できると試算している。そのためには、20MWクラスの超大型風車の導入や、事業海域面積の拡大によるロス率低減、ドローン・AIによる点検効率化と稼働率向上、制御技術の向上によるウェイクロス低減、故障予知向上によるダウンタイム最小化、風車長寿命化(運転期間40年)などによって、設備利用率を第2、第3ラウンド想定の36.6%から2045年までに41%まで向上させることが必要だとしている。JWPAでは、約13.4円/kWhからさらなる低減を進めていく考えだ。

出席した委員からは、「発電コストを低減するには風車の国産化を進めていく必要がある」、「技術開発を進めるための人材育成も必要だ」、「15MWクラスの大型風車を施工可能なSEP船が3隻しかないが、より大きな風車を施工できるのか」、「現状の発電コストが22.4円/kWhだとすると、入札上限価格が発電コストを下回っているのは適切ではない」などの意見が出された。

第2・第3ラウンド
選定事業者への政策措置を検討

新潟県村上市沖

洋上風力第2ラウンド「新潟県村上市・胎内市沖」

これを受けて国側は、洋上風力の持続可能な基盤の確立とコスト低減を実現していくためには、着実な案件形成が不可欠であり、第2・第3ラウンドの事業完遂が極めて重要である。仮にこの事業完遂がなされなければ、風車メーカーや風車部品サプライヤーにおいても、投資の予見性が著しく損なわれ、検討中の投資が当面見送り、または白紙となり、将来的にも国内サプライチェーンなどの産業基盤が構築できなくなるおそれがあるとして、第2・第3ラウンドの選定事業者に対する政策措置のあり方を検討していく考えを明らかにした。

経済産業省資源エネルギー庁風力政策室の古川雄一室長は、「ご指摘いただいた発電コストと入札上限価格については調達価格等算定委員会で議論していきます。今回は業界団体から産業基盤整備にしっかり取り組んでいくという意向表明とともに、その結果としてコスト低減が進むとの見通しが示されたことは意味があるととらえています。国としても案件形成や制度整備に加えて、サプライチェーンの構築、人材育成、コスト低減につながる研究開発について、必要な支援を行っていきたいと考えています」と述べた。

 

 

DATA

交通政策審議会港湾分科会環境部会洋上風力促進小委員会 合同会議(第38回)

取材・文/ウインドジャーナル編集部

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