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WFOの学生イベントから 洋上風力の先進地へ羽ばたく

洋上風力発電の浮体の最適化について研究するためフランスの大学院に留学している簑田康平さんと、世界洋上風力フォーラム(WFO)アジア代表の渡辺さゆりさんが、人材育成やキャリア形成をテーマに話し合った。

メイン画像:左から世界洋上風力フォーラムアジア代表の渡辺さゆりさん、簑田康平さん

 

<目次>
1.昨年7月のイベントが フランス留学のきっかけに
2.エネルギーに関する 社会認識の違い
3.未来へ向けて歩む 日本の洋上風力産業に期待
4.第5回のイベントを 7月2日(木)に開催

 

昨年7月のイベントが
フランス留学のきっかけに

 


左からパリ工科大学 リュック・パストゥールさん、簑田康平さん=2025年7月

 
渡辺 昨年7月、第3回目となるWFOアジア洋上風力サミットを東京で開催しました。同じ会場で実施した大学生・大学院生向けのイベントで、簑田さんに初めてお会いしました。そのイベントが、パリ工科大学への留学を考えるきっかけになったと伺い、とても嬉しく思っています。

簑田 昨年のイベントでパリ工科大学准教授のリュック・パストゥールさんとお話しする機会を得ました。リュック氏は洋上風力発電の浮体について研究していて、その後、先生からお声かけいただいて解析のお手伝いをすることになりました。当初はリモートでやりとりをしていましたが、もともと、「洋上風力発電の先進地である欧州で研究を行う」という研究者としての目標があり、奨学金プログラムに応募して、今年の春からパリに留学しています。

現在は、パリ工科大学の力学部門と、気候変動や再生可能エネルギーなどについて研究する大学の付属機関の「Energy4Climate center」の両方に在籍して、浮体式洋上風力発電について研究しています。浮体の底の部分に ヒーブプレートという少し大きめのプレートをつけることによって、浮体と風車全体の上下運動が低減するという効果が期待されていて、その検証と最適化に向けた研究を行っています。

渡辺 WFOでは、大学生・大学院生向けのイベントを2024年から開催していますが、風力発電の業界イベントと同じ会場で実施することにこだわってきました。それは、業界関係者が集まるイベントの現場でしか得られない業界のリアルな雰囲気を感じて頂くとともに、新しいつながりを自らつかむ機会にしていただきたいという想いからです。簑田さんのように、洋上風力の先進地へ羽ばたいて新しいキャリアを築き始めた方がおられるということは、このイベントの成果の一つだと捉えています。
 

 

エネルギーに関する
社会認識の違い

 


パリ工科大学に留学している簑田康平さん

 
簑田 パリに来て数ヶ月ですが、エネルギーや気候変動に関心が高い人が多く、日常的な会話でもよく話題になっていると感じています。また日本と比べて、自分の意見をはっきり主張する人が多い点に違いを感じます。フランスでは、講義中に学生が意見を述べ、わからないことには積極的に質問するなど、双方向のコミュニケーションが活発です。私は学生同士で討論した経験が少ないので、フランスの学生たちとは議論の経験値が違うと感じています。しかし、最近は自分の考えがまとまってきたので、ディスカッションにも率先して参加しています。

渡辺 私も海外で勤務した経験がありますが、日本は本当に便利な国で、身の回りで起きていることを自分事として捉え、問題意識を持つ機会が多くないように感じています。例えば、電気はコンセントを挿せばいつでも使えるのが当たり前で、どのように発電され、供給されているのかを意識することは少ないかもしれません。しかし、電気を含むエネルギーは、生活や経済活動を支える基盤です。その「当たり前」を維持していくためには、エネルギーに対する理解を社会全体で高めていくことが不可欠であり、官民学が総力を上げて取り組まなければならない喫緊の課題であると考えています。
 

未来へ向けて歩む
日本の洋上風力産業に期待

 


左から世界洋上風力フォーラムアジア代表の渡辺さゆりさん、簑田康平さん

 
簑田 私は、学部生のときには、九州大学理学部地球惑星科学科に所属し、マントル対流の数値シミュレーションについて研究していました。大学卒業を前に、自分の興味と関心がある社会課題を書き出して進路について考えたところ、日本のエネルギーの海外依存の高さがとても大きな課題だと感じました。洋上風力発電分野は、日本が抱えるエネルギー自給率の向上という課題に貢献できますし、多角的なアプローチでものづくりに関与できることに魅力を感じ、研究対象として選びました。

洋上風力発電産業に関しては、まだまだ知らないことも多いですが、個人的にはポジティブな印象を持っています。研究でも産業でも、何もかもうまくいくことはありえないと思っていて、うまくいかないことがあった時に、一旦立ち止まってその課題を解決し、未来へ向けてまた歩き始めることがとても大切だと考えています。現在の日本の状況を見ていると、そうした動きが感じられ、ポジティブな印象がより一層強くなりました。

渡辺 これは研究や産業に限らず、キャリア形成にも通じることですが、何かが予定していたようにはいかなかったとしても、そこから得る学びや経験にはとても価値があり、次のステップへの糧となります。その意味で、一見「成功しなかった」としても、それは「失敗」ではなく、成長へのプロセスであるということを強調したいと思います。異国の地で生活すると、言語や文化の違いなどで困難を感じることがあるかもしれません。しかし、そうした経験はすべて貴重な研鑽になりますので、自分をアップデートする機会だと信じてぜひ頑張ってください。
 

第5回のイベントを
7月2日(木)に開催

 


今年3月に開催された第4回 Offshore Wind Student Day

 
WFOが主催する大学生・大学院生向けイベント「第5回 Offshore Wind Student Day」が7月2日(木)に開催される。イベントの詳細は、公式ウェブサイトをご覧ください。
 

 

DATA

第5回 Offshore Wind Student Day


取材・文/山下幸恵(office SOTO)

写真提供/WFO世界洋上風力フォーラム

WIND JOURNAL vol.11(2026年秋号)より転載

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