脱炭素オークションの上限価格 洋上風力は最高70万円台、前回比最大で4倍に
2026/07/23
経済産業省は7月14日の有識者会議で、来年1月に入札する第4回長期脱炭素電源オークションの洋上風力発電の上限価格を示した。最も高い九州は70万1172円で、前回比最大約4倍の水準となった。
メイン画像:洋上風力第2ラウンド「長崎県西海市江島沖」
第2・第3ラウンドの
ゼロプレミアム案件が対象
洋上風力第2ラウンド「秋田県八峰町・能代市沖」
長期脱炭素電源オークションは、脱炭素電源への新規投資を促すため2023年度に創設された入札制度である。これまで洋上風力発電については、海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進法に基づく公募案件をはじめ、固定価格買取制度(FIT)やFIP制度の認定案件が存在することから、固定費の二重回収を防止する観点から原則としてオークションへの参加が認められてこなかった。
しかし、国の制度検討作業部会などにおいて、再エネ海域利用法の第2・第3ラウンドで選定された公募案件のうち、供給価格を0円/kWhとして交付金を受け取らない、いわゆるゼロプレミアム案件については、バランシングコスト相当分を除いて固定費の二重回収が生じない構造であることが整理された。
この整理に基づき、政府が公募した第2・第3ラウンドのゼロプレミアム案件を対象として、より安定的な回収予見可能性を付与し、国内の産業基盤を確実に育成するため、来年1月に実施される第4回入札から洋上風力発電の参加を認める方向で詳細な制度設計を重ねてきた。7月14日の有識者会議は、その具体的な価格上限や要件を決定づける極めて重要な節目となった。

全国9つのエリアごとに
入札上限価格を設定
9つのエリアの入札上限価格(出典 )
有識者会議において、事務局から提示された第4回入札の洋上風力発電の上限価格は、北海道から九州までの9エリアごとに1kWあたり34万5220円から70万1172円の幅で設定された。各エリアの1kWあたりの上限価格は、北海道が54万5569円、東北が40万8857円、東京が47万7137円、中部が39万657円、北陸が54万8446円、関西が40万3179円、中国が55万8286円、四国が34万5220円、九州が70万1172円である。
限価格の算定方法については、近年の国際的なインフレ動向や資材調達コストの急騰、金利上昇などの影響を適切に吸収するため、第3ラウンド公募の上限価格である18円/kWhを基準とするのではなく、最新の発電コスト検証における試算値30.9円/kWhをベースに物価変動を補正した31.9円/kWhを用いて算定することが提案された。この基準価格に基づき、年間固定費換算で11.0万円/kW/年を算出し、これを各エリア独自の気象特性や開発環境を考慮して設定された調整係数で除すことで、エリアごとの最終的な上限価格を決定する仕組みが導入された。最高値となる九州エリアの約70万円は、全電源共通のしきい値に抑えられていた第3回入札の上限価格20万円に比べて最大で約4倍という高い水準となる。
洋上風力の総募集上限を
50万kWに制限
洋上風力第3ラウンド「山形県遊佐町沖」
今後の課題は、国民や産業界が負う国民負担の抑制と、持続可能な価格低減との調和である。有識者会議で示された上限価格は、他電源の一般的な水準を大幅に上回る最高70万円台に達するため、需要家への急激な影響を抑える目的から、第4回入札における洋上風力発電の総募集上限を50万kWに制限した。この例外的な緩和措置は黎明期の産業基盤の確立を主眼とし、第2・第3ラウンドの選定事業者に限定して適用する方針で、次回以降の公募案件は原則としてオークション対象外となる。
今回の改定によって、電源種ごとに制度の適用期間の上限が20年、30年、40年とそれぞれ異なった形で混在して同一のオークションが行われることとなる。この期間の差異が事業者の応札行動や公平な競争環境に与える影響については、第4回入札における実際の約定結果や各プレイヤーの入札価格データを緻密に分析したうえで、随時、制度の再検証や適切な是正措置を講じていく必要がありそうだ。

DATA
総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 電力安定供給ワーキンググループ(第4回)
取材・文/ウインドジャーナル編集部









