注目キーワード

English 日本語

業界トピック

洋上風力発電の開発を日本の海の再生につなげたい。[渋谷潜水工業]

長崎県における浮体式洋上風力発電の実証実験に関わった渋谷潜水工業。海中工事専門会社である同社の代表取締役社長である渋谷正信氏に、漁業協調モデルの推進に対する思いを聞いた。

東京湾アクアラインで
環境との両立実現を確信

海中工事専門会社として40年以上の歴史を誇る渋谷潜水工業は、水中での溶接やコンクリートの打設などを手掛け、国内で数々の海洋ビッグプロジェクトに携わってきた。

しかし、例えば港を作る際、防波堤をダイナマイトで撤去して磯を傷つけてしまうことがある。磯は海藻が多く、生態系の維持において重要な場所だ。同社の渋谷正信社長はかつて、自分の仕事が海の環境破壊につながっていることに心を痛めていた。

渋谷社長の価値観を一変させたのは、東京湾アクアラインの建設だ。「風の塔」の水中部は鋼管のジャケット構造になっており、そこにクロダイやメバルなどの魚が群れになっていた。そこで「海中の構造物と海の環境が両立する」(渋谷社長)と考えた。

その後、長崎県五島市の浮体式洋上風力発電の実証実験に関わることになり、洋上風力発電を使った漁業協調モデルを推し進めるべく、一般社団法人海洋エネルギー漁業共生センターを設立した。洋上風力発電で先行するオランダでも魚群を確認していたことから、日本でもそれが実現できると確信したのだ。

日本の海は今、磯焼けが進み漁獲量が激減、30年前の3分の1になっている。漁業では稼ぎにくくなり、後継者不足も深刻だ。だが、「洋上風力発電をうまく使えば日本の海を復活できる」。渋谷社長はそう信じて、己の道を突き進んでいる。

話を聞いた人

株式会社渋谷潜水工業
代表取締役社長
渋谷正信氏

関連記事

八峰町 能代市沖
経済産業省
環境省
広告お問い合わせ

アクセスランキング

  1. 秋田県、発電事業者に再発防止策を求める 県内の風力発電所にも適切な保守管理を要請...
  2. 秋田市の風車ブレード落下、15年前にも落下事故 経産省が現地調査を開始...
  3. 【洋上風力第4ラウンド】鹿児島県いちき串木野市沖 事業化に向けて国に情報提供...
  4. 石川県輪島市検討協議会、浮体式洋上風力の誘致推進を決議 震災復興へ
  5. 【深堀り解説】浮体式の新たな動きが活発化、技術研究組合の設立や電気運搬船構想...
  6. 武藤経産相「事故原因の究明を踏まえて必要な安全対策を検討」
  7. 【特集】洋上風力「第4ラウンド」の動向まとめ 異例の展開のラウンド事業の行方は?...
  8. 【特別企画】洋上風力トップ3社が熱い議論、日本が直面する課題と解決策とは?...
  9. 風力発電の2024年導入量は過去最高 今後は増加率の低下を懸念
  10. 北九州響灘洋上ウインドファームの建設工事が大詰め、この春にも風車の据え付けを開始へ...

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.08 | ¥0
2025/2/19発行

お詫びと訂正