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洋上風力大量導入へ 広域送電網を増強

政府は、洋上風力や太陽光などの再生可能エネルギーによる電気を広域で融通するため、広域送電線の整備を過去10年の8倍以上のペースに引き上げる方針を決定した。22年12月に開催されたGX実行会議で、岸田文雄首相が整備計画を表明した。洋上風力発電の計画が相次ぐ秋田県では、首都圏への送電網の整備が進められている。

日本海沿岸の
新送電線を早急に整備


秋田県と山形県を結ぶ送電線の鉄塔(秋田県大仙市)

キラキラ光る巨大な鉄塔が山あいの集落にそびえたっていた。東北電力ネットワークは、秋田市と山形県酒田市を結ぶ新たな長距離送電線「出羽幹線」の建設工事を進めている。秋田県沖で進められている洋上風力発電事業をはじめとして、北東北3県で再エネの大量導入が計画されていることから電力系統を増強するのが目的。秋田市の河辺変電所(新設)から酒田市の八幡変電所(新設)にかけての96.4キロのあいだに232基の鉄塔を設置する。31年11月の供用開始を目指す。

北東北3県には既設の送電線の空き容量がほとんどなく、新たな発電事業に取り組みにくい状況が続いていた。特に青森県から山形県にかけての海域では、大規模な洋上風力発電事業が相次いで計画され、日本海側を通る送電線の早急な整備が求められていた。出羽幹線は22年6月に鉄塔の工事が始まり、27年9月には架線工事に着手する予定。完成後は、酒田市の八幡変電所で既設の電力系統に接続し、首都圏などに電気を送る。

送電網整備
巨額の費用が大きな課題


22年12月に運転開始した洋上風力発電施設(秋田県能代市)

22年12月に開催されたGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議では、電力の安定供給と再エネ電力の有効活用を図るため、今後10年間の広域送電線の整備計画を打ち出した。過去10年の広域送電線の整備量は、東西連系線と北海道-東北間で合わせて120万キロワットにとどまっている。今後10年間は8倍以上のペースに加速させる方針。

今後10年間の整備計画では、新たに北海道と本州を結ぶ200万キロワットの海底送電線を設ける。30年度の供用開始を目指している。北海道の鈴木直道知事は、「現在、電力広域的運営推進機関で検討されている、電力インフラ整備の長期展望案のなかで北海道関連の投資は、今後、本道と本州を結ぶ送電ルートの新設に2.5兆円から3.4兆円、道内の系統増強に1.1兆円とされているところです。今回の決断は、北海道の豊富な再生可能エネルギーのポテンシャルを活かすことにより、わが国における電力安定供給の実現とカーボンニュートラルの目標達成に向けた大きな前進と受け止めています。また、この海底送電ケーブルの整備に併せ、道内送電網の増強も進むことを期待しています」とコメントしている。

政府は、50年までの長期整備計画「マスタープラン」を22年度中にとりまとめる。しかし、電力会社のエリア間を結ぶ広域送電網の整備には、巨額の費用がかかる。岸田首相はGX実行会議で、資金調達を円滑化する仕組みの整備を進める考えを明らかにしている。


取材・文/高橋健一

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