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【第3ラウンド最新動向】洋上風力第3ラウンドは少数激戦に ~ 青森沖と山形沖の行方 ~

経済産業省と国土交通省は今年1月から、青森県日本海南側と山形県遊佐町沖の2海域で洋上風力発電事業者の3回目の公募を実施している。わずか2つの海域に、多数の事業者がひしめく事態になっている。

山形県遊佐町沖
建設拠点は酒田港


山形県遊佐町沖は、秋田県境にある遊佐町の沖合。促進区域は、吹浦漁港の南側から酒田市との境界にかけての4131.1ha。着床式の発電出力は45万kWで、モノパイル式基礎の設置を見込んでいる。風車設備の輸送や建設の拠点は、酒田港大浜西埠頭を想定している。

遊佐町の南側に隣接する酒田市沖も昨年10月に「有望な区域」に整理され、早期の事業化を目指している。酒田市沖の発電出力は50万kW。遊佐町沖と酒田市沖の合計出力は95万kWで、原子力発電所1基と同じレベルに達する。

国内外の20事業者が
コンソーシアムを設立

山形県遊佐町沖で環境影響評価の実施を公表しているのは、合わせて24社。このうちの20社は2021年12月に「遊佐沖洋上風力発電に係る環境アセスメント共同実施コンソーシアム」を立ち上げ、環境影響評価の手続きを共同で進めている。

同コンソーシアムは、酒田市に本社を置く土木・建築工事会社の加藤総業が代表者を、コスモエコパワーが事務局を務めている。同コンソーシアムは、環境影響評価方法書集約化のための組織であり、事業を共同実施する組織ではない。方法書では、計画発電出力が45万kW(単機出力9500~1万5000kW×最大52基)となっている。

4事業体が
個別に環境アセスを実施

遊佐町沖では、同コンソーシアムのほかに、伊藤忠商事、東京電力リニューアブルパワー、日本風力開発、中部電力が事業計画を公表し、環境影響評価を実施している。20社で立ち上げた環境アセスメント共同実施コンソーシアムには、その後も新たに加わる非公表の事業者が複数あり、山形県遊佐町沖には、これまでに合わせて30前後の事業者が参入しているとみられている。

青森県日本海南側
建設拠点は青森港


青森県日本海南側は、県の西部のつがる市と鰺ヶ沢町の沖合で、促進区域は1万375.6ha 。着床式の発電出力は60万kWで、モノパイル式基礎の設置を見込んでいる。風車設備の輸送や建設の拠点は、青森港油川埠頭を想定している。

青森県つがる市には、航空自衛隊車力分屯基地や米軍車力通信所が設置されている。このため、法定協議会では、公募に参加する事業者に対し、国へ提出する公募占用計画のうち、発電設備の構造や設置位置について、防衛省に支障がないことを事前に確認するよう求めている。

8事業体が
環境アセスを実施

この海域では、これまでに8つの事業体が環境影響評価を実施している。洋上風力第3ラウンドは、わずか2海域の少数激戦。青森県日本海南側でも、激しい主導権争いが繰り広げられそうだ。

洋上風力発電をめぐる汚職事件を受けて、経済産業省は日本風力開発について、第3ラウンドの2海域への公募参加を認めない方針を決めている。さらに、都市ガス談合を受けて、中部電力についても、第3ラウンドの2海域への公募参加を認めない方針を示している。


WIND JOURNAL vol.6(2024年春号)より転載


取材・文/高橋健一

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