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秋田と岐阜のメーカー 洋上風力のクレーン共同開発

鉄鋼メーカーの東光鉄工(秋田県大館市)は、機械メーカーの関ケ原製作所(岐阜県関ケ原町)と連携し、洋上風力発電設備のメンテナンスなどに使われる荷役クレーンを共同開発する。製造技術やノウハウを生かし、2023年度中の実用化を目指す。東光鉄工は国の補助金を活用し、洋上風力専用工場を新設する方針。

ダビットクレーン
初の国産化を目指す


ダビットクレーンのイメージ

共同開発するのは、洋上風力発電設備のメンテナンスなどに使われる「ダビットクレーン」と呼ばれる、高さが約5メートルのクレーン。風車と支柱をつなぐ接続部分に設置し、海上の小型船から風車設備に機器や資材などを運ぶ。発電開始から20~30年にわたって風車の稼働や維持管理に必要な設備になる。

船にとりつけるクレーンの製造に携わってきた関ケ原製作所が、製品の設計や基幹部品の製造を担当する。東光鉄工は、高い溶接技術を活かして製造や組み立て、販売を担う。ダビットクレーンの製造は、国内初の取り組みだという。これまでは、洋上風力発電事業で先行する欧州企業の製品が高いシェアを占めていた。大型台風や冬期間の暴風雪といった日本の厳しい気象条件に耐えられる製品の開発を目指す。

東光鉄工
専用工場を新設

東光鉄工は、洋上風力発電に関連する製品を生産するため、秋田県大館市の釈迦内工場内に専用棟を新設する。経済産業省の補助金を活用して約8億円を投じる。早ければ2023年春に着工し、同年末までの完成を見込む。2023年度中にダビットクレーンを実用化するとともに、輸送用の架台などを生産する。

東光鉄工の菅原訪順社長は「ダビットクレーンは洋上風車の建設工事だけではなく、長期にわたりメンテナンスにも使われるため、日本国内で多くの需要が見込まれる。一過性ではなく継続的なビジネスにしていきたい」と期待を込める。関ケ原製作所の矢橋英明社長は「ヨーロッパの製品に対抗できる質の高い製品を開発したい」と意気込む。

現在、秋田県沖では三菱商事系企業連合が「能代市、三種町、男鹿市沖」「由利本荘市沖」の2海域で洋上風力発電事業を進めるほか、「八峰町、能代市沖」「男鹿市、潟上市、秋田市沖」の2海域で国が発電事業者を公募している。東光鉄工と関ケ原製作所は、秋田県沖の4海域や千葉県沖、茨城県の港湾区域などで、共同開発したダビットクレーンの採用を目指している。

DATA

洋上風力発電に向け「国産ダビットクレーン」共同開発


取材・文/高橋健一

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